大ヒットを記録した『エピソード4/新たなる希望』公開から3年後の1980年、シリーズ2作目として『エピソード5/帝国の逆襲』が世界中で公開された。2020年は『帝国の逆襲』が公開されてからちょうど40周年。今回は、当時の貴重な資料の中から、映画告知ポスターにまつわるあれこれを振り返ってみよう。
上は、映画本編の撮影などまだまったく行われていない時期に、ラルフ・マクォーリーが描いたスタッフ向けのイラスト。ノルウェー、フィンセでの雪原撮影隊スタッフは、右胸にこのイラストが描かれた青い防寒着を着て雪原戦闘シーンの撮影に臨んだ。この防寒着はジョージ・ルーカスもお気に入りだったようで、『エピソード6/ジェダイの帰還』』の森林シーンの撮影中、この防寒着を着ていた。
ノルウェーで『帝国の逆襲』を撮影中のアービン・カーシュナー(左)とマーク・ハミル。
これはアメリカの速報版(アドバンス)ポスター。まだ本編の撮影前だったため、宇宙に浮かんでいるダース・ベイダーのマスクは『新たなる希望』で使われた写真を左右逆版にして使っている。人気キャラクターのダース・ベイダーが続編にも登場することをアピールしたのだろう。
このポスターは、下部に役者やスタッフの名前が入った速報第2版が作られ、劇場を中心に街中にも大量に貼られ、続編への大きな宣伝効果をあげた。
速報版ポスターに使われた写真。
これは日本で作られた速報第2版ポスター。これと同様の絵柄で、ポスターのタイトルロゴがまだ「スター・ウォーズ 2」とだけ印刷された最初の速報版ポスター(「帝国の逆襲」の正式タイトルが発表されない時期に作られた?)もある。
これはイギリスで作られた速報版ポスター。イギリスでは正式に速報版ポスターが作られなかったため、「帝国の逆襲」を公開予定している劇場グループが、アメリカ版ポスターを元に勝手に作ったと思われる。ポスターのデザインとしてもかなりチープな印象だ。
上は、ロジャー・カステルが『風と共に去りぬ』からインスピレーションを得て描いた「スタイルA」と呼ばれる絵柄のフランス語版。この絵柄はそのままヨーロッパなど世界各国に配給され、タイトル部分のみ自国の言語に変更されて使われた。なぜフランス語版を紹介したかというと、アメリカ本国版においては公開まで極秘扱いだったためか、左上のクラウド・シティや右下のボバ・フェットやランド・カルリジアンらが消された絵柄でポスターが作られていたのだ。
『新たなる希望』のポスターに引き続き、トム・ユングによる「スタイルB」と呼ばれたアメリカ版劇場ポスターの原画。このままの絵柄で世界各国語版のポスターが作られた。
マニア的視点で言うと、下書きの段階ではノーマルのTIEファイターが描かれていたが、なぜか最終版ではTIEボマーに変更されている。
トム・ユングが描いた『新たなる希望』のポスター。
トム・ユングが描いたイラストを使った香港版ポスター。
アルゼンチン版ポスター。
日本人のイラストレーター生頼範義(おおらい のりよし)氏によって描かれたこのイラストは国際版ポスターに採用され、各国でポスターが作られている。
日本では著名だった生頼氏だが、このイラストでその名が一気に世界に知られることとなったのだ。
生頼氏のイラストが描かれたブラジル版ポスター。
生頼氏のイラストが描かれたスペイン版ポスター。
最後に紹介するのは、40周年を記念してアーティストのマット・ファーガソンが描いたポスターアート。映画に登場するキャラクターやビークルをそのままモチーフとしてデザインしたものだが、40年経った今でもまったく古臭くなく、洗練されたフォルムだったことがわかる。
『帝国の逆襲』をリアルタイムで劇場で観た方も、公開当時はまだ生まれていなかったという方も、これらのポスターが世界のファンに与えた期待と興奮を想像しながら、ぜひもう一度『帝国の逆襲』を見直してみてはいかがだろうか。