2015年12月18日に劇場公開された『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』。StarWars.comはその公開10周年を記念し、続3部作の幕開けを飾った同作を今一度振り返る。
ジョン・ウィリアムズはこれまでに数多くの名だたるスター・ウォーズのテーマ曲を作曲してきたが、宇宙空間において初めてヴァイオリン・ソロが奏でられるという栄誉に浴したのはたったひとつのみ──同曲を演奏したのはサラ・ギリス。2024年の民間有人宇宙船によるミッション「ポラリス・ドーン」においてのことであった。「レイのテーマ」は、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』公開から10年が経ち、すでに「クラシック(定番、古典)」の域に達しているのだ。
「レイのテーマ」は、また、ある黄金色のプロトコル・ドロイドのお気に入り曲ともなっている。
C-3PO役のアンソニー・ダニエルズが最近述べたところによれば、この曲はスター・ウォーズ楽曲でもお気に入りトップ5に入るのだという。
「このテーマ曲はレイの若々しさを見事に捉えていますね」と、彼は「スター・ウォーズ・インサイダー」誌2025年2月号で語っている。「そしてご存じのように、この曲は壮大なオーケストラへと発展し、レイの物語に私たちを導いてくれる。本当に大好きな曲です」
さて、今やレイを象徴する本楽曲だが、おそらくもっとも驚くべきは、スカイウォーカー・サーガの完結まで何度もジョン・ウィリアムズをスター・ウォーズに呼び戻した張本人はレイというキャラクターそのものであったという事実だろう。

『フォースの覚醒』におけるマスクをした廃品回収業者の初登場シーンでは、音楽がまったく使われていないのが特徴的だ。足音が埃(ほこり)まみれのスター・デストロイヤーの残骸にこだまし、揺れるロープのきしみ音が背後で聞こえるだけである。マスクが外され、ここで初めて、それが若い女性であることがわかる。朽ちた船にもジャクーの砂漠にもくじけている様子は一切ない。そこで音楽が始まる。画面上の静寂を破り、音楽はさらに印象深いものとなる。
「レイ役のデイジー・リドリーに一目ぼれしたんだ。彼女はまさに生まれながらのスーパースター」と、ウィリアムズは2015年のロサンゼルス・タイムズ紙のインタビューで語っている。「このテーマは、女性の冒険家でありながら、並外れた強さを秘めていることを示唆している」と彼は続ける。「彼女は戦士であり、フォースに満たされている。テーマ曲は力強く、それでいて思慮深いものでなければならなかった」

ジョン・ウィリアムズ作曲による「レイのテーマ」の楽譜。
寂しげなフルートの音で「レイのテーマ」のメロディーは始まる。軽快にたたかれる木琴の音色は、私たちが初めて出会うヒーローと同様の若々しさで奏でられる──遊び心がありながらも実用性の高い即席仕上げのソリを使い、砂丘を滑り下りるレイ。その描写により、彼女の若々しさはさらに強調される。


(上) 『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でジャクーの砂漠をスピーダーで駆け抜けるレイ。(下) 『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977)でタトゥイーンの砂漠をランドスピーダーで駆け抜けるルーク。
特徴的なスピーダーに荷物を積み込むレイ。彼女の決意を反映したかのような弦楽器の音が響く。その後のレイの行動は、スター・ウォーズ・ファンがこれまでに見てきたイメージ──私たちのヒーローであるルークやアナキンが砂漠を疾走するシーン──を彷彿(ほうふつ)とさせる場面に移るが、「レイのテーマ」がかかることで、このシーンは完璧にレイにピッタリのものとなっている。
彼女の存在感と不屈の精神は、彼女が姿を見せるあらゆる場面で感じられるものだが、ウィリアムズによれば、その感覚の直接の秘密は、デイジー・リドリーにあるのだという。
だが、レイのタフさやその輝きのすべてを語る際、音楽は彼女の脆(もろ)さにも触れている。
「彼女は廃品回収で生活を立て、両親はおらず、孤独な日々を送ってきた少女。私は深い共感を覚えるんだ」と彼は語っている。
ウィリアムズは、続編『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)の作曲の話を打診された際、自分がこのキャラクターに「完全に夢中」になっていることに気づいたという。
「ディズニーからスター・ウォーズの次のエピソードを手掛けてくれないかと依頼されたんだ」と、ウィリアムズは2016年のハリウッド・ボウルでのコンサートで観客に語っている。「少し考えようかとも思ったのだけど、すぐに決心した。絶対に自分以外の人間にレイの音楽を任せるわけにはいかなかったから」
約束通り、ウィリアムズは『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』と『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019)の音楽を書き下ろした。「レイのテーマ」はレイと共に成長し、発展していくのである。
「オーケストラで演奏することで、より大人っぽく仕上がっている。メロディーを聴いてもらえるとわかる思う」と彼は語る。「『フォースの覚醒』のようにシンプルに表現されているわけではないけどね」

デイジー・リドリー(右)に、オリジナルのテーマ曲の最初の楽譜を贈るジョン・ウィリアムズ(左)。
特典映像「スカイウォーカーの遺産」(編註:ディズニープラスでは『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の特典映像でご覧いただけます)を見ると、ウィリアムズがオリジナルのテーマ曲の最初の楽譜をリドリー本人に贈ったことが明らかにされている。
「レイのテーマ曲だよ」とデイジーに言うウィリアムズ。「君にあげる」
デイジー・リドリーは感動で涙した。
ウィリアムズと「レイのテーマ」に関しては、現在ディズニープラスで配信中のグラミー賞・エミー賞受賞のドキュメンタリー『ジョン・ウィリアムズ/伝説の映画音楽』(2024)もぜひご覧あれ。公開10周年を記念した『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』もディズニープラスで絶賛配信中!
筆者略歴
ケリー・ノックスは「Marvel Crafts」「Star Wars Be More Obi-Wan」「Star Wars: Dad Jokes」の著者であり、近く刊行予定の「The Phantom Menace: A Visual Archive」の共著者でもある。ダジャレはいつだってマジというスタンスだ。
Starwars.com 2025/12/8 の記事