現在、全エピソードがディズニープラスにおいて配信中の『スター・ウォーズ:スケルトン・クルー』(2024)。このたびStarWars.comでは、各エピソードを担当した監督にスポットライトを当てたインタビューを敢行、各監督自身がたどってきたスター・ウォーズの旅について──加えて、各自が各担当話に施したユニークな作劇術について──の詳細を聞き取った。
ネタバレ注意: この記事には『スター・ウォーズ:スケルトン・クルー』のストーリー詳細とプロット・ポイントについての説明が含まれています。
『スター・ウォーズ:スケルトン・クルー』のセットにて──(左から)ブルータスとジェイク・シュライアー。
ジェイク・シュライアー──エピソード5
ジェイク・シュライアーにとって『スケルトン・クルー』を監督するという仕事は、ある種「同窓会」的な出来事だった。というのも、番組製作者のジョン・ワッツならびにクリス・フォードとは大学時代にルームメイトだったからだ。
「大学のルームメイトとまたここにいるなんて、じつに不思議な感じだよ! 私たちは週に1回、ブルックリンの路上でやたら低予算な映画を作って、黎明期のYouTubeにアップするなんてことをやってた」とシュライアーは語る。「だから、彼らとまたつるんで、しかもこんな大規模の仕事をするというのは、とても楽しいけど、方向性を見失わないようにしなくちゃいけない」
シュライアーは、自身が手がけたエピソードにおいて、「子供の目を通して見たスター・ウォーズ銀河」という、本作全体に通底するテーマを取り上げている。
「私のやったエピソードはクレイジーだったね。目的地の座標を探そうとする子供たちの手助けをするのが、よれよれのボロっちい海賊ロボット(SM-33)なんだ」とシュライアー。「で、33がこの座標の場所を思い出すのだけど、そこは古い海賊の隠れ家だとわかる」だが、目的地にたどり着いた子供たちはまったく思いがけない事態に見舞われてしまうのだ。
「この惑星は子供たちの都合のいいようにはできてない。最初のうちはそんなに恐ろしい場所とは思えないんだけど」と、シュライアーは本エピソードの舞台となる惑星ラニューパについて語る。「ここはやっぱり大人の世界で、子供たちが好き勝手にうろうろできるような場所ではないんだ」
本エピソードには登場人物たちが移動する場面が多く登場する。そのため、シュライアーはさまざまな要素を慎重にバランスさせるべく腐心することになった。
「大がかりな話を任されたよ。アクション満載で色いろんなものが詰まっている」とシュライアー。「子供たちの感情を追いつつも、全部をきちんとこなさなくちゃいけなかった。技術的な部分に気を取られすぎないよう気をつけながらね。すべての要素を細かく噛(か)み砕いて考える必要があった。それが仕事で一番興味深いことだったかな」
『スター・ウォーズ:スケルトン・クルー』のセットにて──(左から)ブライス・ダラス・ハワードとジュード・ロウ。
ブライス・ダラス・ハワード──エピソード6
映画の撮影セットはブライス・ダラス・ハワードにとって「なくてはならない」ものだ。それは幼い頃から父親と共に「そこで過ごしていた」頃からなんら変わりない。そのことは彼女を俳優業へと誘う。だが、近頃では監督業をもこなし、『マンダロリアン』(2019-2023)『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』(2021)両作品のエピソードを担当してもいる──そう、彼女はスター・ウォーズではもうなじみの顔なのだ。
ハワードは『スケルトン・クルー』のエピソードを監督することになった際、これまで手がけてきたスター・ウォーズ作品と本作の登場人物たちとの間に存在する有機的つながりを心の中で感じながら作品作りをしたのだという。
「キャラクターの心の中に飛び込むことにしてるの」と彼女はStarWars.comに語る。「そういう点は大事。それは、最終的にはキャラクターの心象風景のようなものを作り上げることにつながるから」
彼女がどれほどの愛をもって「キャラクターに入り込む」のかは、担当エピソードへの取り組み方に端的に見て取れるといえるだろう。
「このエピソードをやることができて嬉しかった。だってこれはキャラクターがまさにどん底に突き落とされているときの話だから」とハワードは語る。「とてもエキサイティングだと思った要素のひとつは、女性同志の友情が壊れるところ。それは非常に具体的に表現されてる。そういったことは自分でも覚えがあるし、ほとんどの人が経験してるのではないかな。そして、ライアン・キエラ・アームストロング(ファーン)やキリアナ・クラッター(KB)のおかげでこのシーンに命を吹き込むことができて本当によかった。だってそのシーンは重層的で深いから。心のしこりを少しばかり取り除くところはすごくいい場面になってる」
ハワードはまた、ジュード・ロウ演じるジョッドが見せる重要な瞬間が本エピソードにおけるハイライトなのだとも言う。
「ジュード・ロウはこのエピソードで素晴らしいスピーチをする。これを撮ることができてホントに嬉しかった」とハワード。「ただ楽しんで演じてほしいというのが撮ってる側の願いだけど、何より、俳優全員がこの場面にノレることが大事だった。ジョッドがただしゃべるというだけのシーンじゃないから。これは目の前にいる海賊たち、そして、彼自身に関わる大事なこと。彼は自分の運命を、そしてこの群衆の考えを変えるよう説得しなければならないの」
『スター・ウォーズ:スケルトン・クルー』のセットにて──(左から)リー・アイザック・チョン、キリアナ・クラッター、ラヴィ・キャボット=コニャーズ、ライアン・キエラ・アームストロング。
リー・アイザック・チョン──エピソード7
以前に『マンダロリアン』のエピソードや『ミナリ』『ツイスターズ』等の映画を監督したリー・アイザック・チョンは、スター・ウォーズへの返り咲きにワクワクしていた。
「正直、これは素晴らしいアイデアだよ。すごく面白そうだと思った」と、チョンは企画を聞いた際の印象を語る。「それですぐに『参加します』と言ったんだ。『エピソードを1話やらせてください』って。ジョン(・ワッツ)が自分に声をかけてくれて、すごく光栄だった」
本作最終話のひとつ前の重要エピソードを任されたチョンは、撮影でストーリーの一貫性に齟齬(そご)が生じないよう、他のエピソードを担当した監督及びクリエイター陣と積極的な協力態勢を取った。
「番組の監督全員が、お互いうまくいくよう気を遣ってた」とチョンは言う。「そして究極的には、それは作品自体のためってこと。本当に良いものを作りたいという願いからさ」
作品の監督中は、まるでタッグ・チームを組んだような感覚で作業が進められた。チョンと他の監督──例えばジョン・ワッツ──との間では「バトン」のやり取りが頻繁に行われた。
そして、チョンがバトンを受け取る段になった。彼は『スター・ウォーズ』だけでなく『未知との遭遇』等の映画からもインスピレーションを得たのだと語る。
「エピソード7で、ジョッドの宇宙船がアト・アティンに着陸するシーンがある。この惑星の人々は、もう長い間、この宇宙船を見ていないという状況だ」とチョン。「それで、私は『未知との遭遇』を見て、異星人の宇宙船の飛来をスピルバーグがどんなふうに撮ったのかを参考にしたんだ」
チョンにとってはとくに印象深い日があった。クリスマス休暇前の、エピソード7撮影最終日だ。主演のラヴィ・キャボット=コニャーズ(ウィム)やロバート・ティモシー・スミス(ニール)を含むメイン・キャスト陣は、ジュード・ロウの誕生日にサプライズのお祝いをしたいと考えていた。
「何かがうまくいかなかったふりをして、もう1テイク撮ることにした」とチョンは説明する。「そして、ある程度まで撮影が進んだところでラヴィがジュードに振り向いて『お誕生日おめでとう』さ。そこで音楽が流れ始めて、みんなが踊り始めた」
この忘れられない瞬間は、チョンにスター・ウォーズ流の物語の紡ぎ方の魔法、そして同タイトルが持つ人々を結びつける力について思い出させてくれる出来事となった。
「この作品が私にとって特別なものになったのは、こういうことがあるからだね。私たちの仕事への取り組みは真剣そのものだけど、同時にすごく楽しんでもいるんだよ」
『スター・ウォーズ:スケルトン・クルー』の全エピソードはディズニープラスで絶賛独占配信中!
『スケルトン・クルー』各話監督インタビュー Part 1はこちら>
『スター・ウォーズ:スケルトン・クルー』に関してさらに詳しく知りたい向きはStarWars.comの以下の記事をご覧あれ。
- 『スケルトン・クルー』各話監督インタビュー Part 1
- 『スター・ウォーズ:スケルトン・クルー』のクリーチャー・エフェクトの秘密
- 『スケルトン・クルー』ジョッド・ナ・ナウッド役ジュード・ロウ インタビュー
- 『スケルトン・クルー』SM-33役ニック・フロスト・インタビュー
- 『スケルトン・クルー』キャストからのご挨拶
- 『スター・ウォーズ:スケルトン・クルー』のサーカス・ホログラム
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Starwars.com 2025/1/16 の記事
筆者略歴
ペイジ・ライマンはフリーランス・ライター兼カルチャー・ジャーナリストで、その守備範囲はビデオ ゲームからエンターテインメント、インターネット・カルチャーその他と幅広く、「Digital Trends」や「Wired」等のメディアではレギュラー執筆者を勤めている。子供の頃からのスター・ウォーズ・ファンである彼女は、事あるごとにアニメ・シリーズを見るよう友人たちを説得している模様。ペイジはアイスコーヒー、ビデオゲーム、音楽、ワークアウト、コスプレ、旅行──そしてハン・ソロを愛してやまない。