マーベルスタジオ作品『ワンダヴィジョン』の配信に先立ち、シットコムのレジェンドとも言える人気番組『Family Matters』出演者のジャリール・ホワイトが、エリザベス・オルセン、ポール・ベタニー、テヨナ・パリス、キャスリーン・ハーン、そしてシリーズ監督のマット・シャックマン、脚本を担当するジャック・スカエファー、そしてマーベル・スタジオの代表ケヴィン・ファイギを招いたオンライン記者会見を実施。
ディズニープラスで1月15日から独占配信の『ワンダヴィジョン』。記者会見を通して得た、本シリーズにまつわる10の情報をお届けします。
1.観客を招いたスタジオ撮影での緊張感
ワンダ・マキシモフを演じるエリザベス・オルセンは撮影について、最初に撮影したエピソードがスタジオに観客を招いたライブ演技だったことを明かしました。「すごく緊張したと同時に、アドレナリン全開でした」と、話すオルセン。「その場での変更もたくさんあって、脳内が混乱してしまいました」
続けて、「観客にむけて演技をするわけではないけど、観客にも満足してもらうように、そしてカメラも意識して……と大変!次のエピソードで“第四の壁”が作られてホッとしました」
2.クラシックなシットコム作品の影響
最初の3話までを鑑賞した司会進行のホワイトは、あることに気付いたと言う。それは、エリザベス・オルセンが、目線から手の置き方まで、明らかに伝説的なシットコム女優の動きを参考にしていることでした。
「メアリー・タイラー・ムーアとエリザベス・モンゴメリーの融合といった具合でしたが、そこに偶然にも『The Lucy Show』のルーシーの要素を加えてしまったんです。あの作品もまた、70年代を代表するフィジカルな動きの強いコメディだったから」と、オルセン。
3.ヴィジョンの本質
ヴィジョン演じるポール・ベタニーは「撮影が始まった頃は、演じていて、最初に脚本を読んだ時と全く違う印象で驚きました。どうやってヴィジョンをこれまでの彼と同じ雰囲気に保とう?と。」確かに、本作の雰囲気は70年代。ヴィジョンは言ってしまえば、より“近代的な”存在です。「しかし、気付いたんです。彼はこれまでも常に何か新しいものへと変化していました。ほら、彼はJ.A.R.V.I.Sなのです。ウルトロンの一部であり、トニー・スタークの一部である、万能の存在。しかし、同時にナイーヴで純朴さもある。だから、少し演技にディック・ヴァン・ダイクとブライアン・クランストン、ヒュー・ローリーの要素を加えてみました。私が思うヴィジョン像、誠実で立派で、ワンダのためにいる存在である彼のイメージが変わっていなければ、いいなと思います」
4.シットコムの研究
マット・シャックマン監督は「我々はできる限りオーセンティックな仕上がりにしたかった。それが最大の目標でしたね。プロダクションデザイン、シネマトグラフィ、コスチューム、全てを俳優とともに深く掘り、より昔のシットコムのような出来栄えにしたかった」と語ります。
また、シャックマンはそういった様々な要素を組み合わせていく過程で、たくさんの昔のテレビ番組を鑑賞したと言います。「コメディがどのように変容していったかについても話し合いました。本当に目まぐるしく変化してきたんです。50年代と60年代、70年代ではそれぞれ全く違いますから。リジー(エリザベス・オルセン)が先ほど言っていたように、演技を観客の目の前で行う劇場型のテレビ番組の収録形態がそこに大きく関わっていると思います。その場にいると、演劇のような、パフォーマンスが直接観客に影響を与えているというエネルギーを感じますよ」
加えると、本作品に出演する役者は発音コーチと共に劇中の年代の人物の話し方を練習したのだそうです。
5.ワンダとヴィジョンの郊外ラブストーリー
「ワンダとヴィジョンはカップルとしてもファンにとても人気のキャラクターたちです。彼らの恋物語があまりにも悲劇的だから」と語るのはジャック・スカエファー。「しかし、それだけでなく温かみと親密さがある。私たちはこれまで彼らの美しい、言うなればMCUの世界では失ってしまわれがちな恋の瞬間を見守ってきました。スクリーンに映る時間こそ少ないけれど、実にパワフルで、ソウルフルなものでした」
『ワンダヴィジョン』の魅力として挙げられるのは、映画製作者が新たな領域に足を踏み入れ、ドラマとともに新しいステージへと進んでいること。「私たちは、彼らがお皿洗いをするという可愛らしい姿を見ることができる」と、話すスカエファー。「そういった家庭的なスーパーヒーローの姿を私たちは今まで見たことがありませんでした。MCUでは劇的で、派手な戦闘の瞬間が目立つからです。それに比べ『ワンダヴィジョン』はもっとキャラクターのキュートな一面を楽しむことができます……当分の間は」
6.まさに『トワイライト・ゾーン』の領域
本シリーズが影響を受けた作品について、スカエファーが語った「キュートだったものがキュートではなくなる」ことにシャックマンが次のように話した。「制作過程で、私たちはよく自分たちが子供の頃に見ていたシットコムについて話していました。ヴィック・ヴァン・ダイクや『I Love Lucy』スタイルのものが、それとは異なる世界観へと変化していくものは何かと。それはまさに『トワイライト・ゾーン』だったのです」
「個人的に『トワイライト・ゾーン』には多くの影響を受けました」とスカエファーは話す。「私が物語を語る術を学んだひとつの作品でもあります。あの頃の作品の中では信じられないほど巧妙なシリーズだったのです。ある見え方をしていたものが、突然ひっくり返って全く違う見え方がするような仕掛けのあるものでした」
7.キャスリン・ハーンが如何にMCU入りしたか
ケヴィン・ファイギは観客にむけて、キャスリン・ハーンがMCUに参入したことを嬉々として紹介。「私の記憶の中で、最も奇跡的な出来事のひとつでした」
「きっかけはミーティング。普段は時間があまりとれないのでそこまで念入りに行わないのですが……」と、ファイギは説明する。「しかし、彼女がルイス・エスポジートと一緒に来てくれて、私たちの最近の仕事に興味を示してくれたんです。私たちも彼女のファンでした。そして、そのタイミングでちょうどライタールームで我々はアグネス役を誰が演じるべきか、話し合っていたんです。そして誰かが“昨日来ていたキャスリンは?”と言い出して。普段はこのようなキャスティングの仕方はしませんが、この時ほど完璧な流れは今までなかったと思います」
8.ワンダのパワーをシットコムの世界観に合わせて変換
「私は『奥さまは魔女』のサマンサのように、鼻をぴくぴく動かすことができません」と明かす、オルセン。「だから、私たちは何かこの時代に適したスタイルの、他の動きを生み出す必要があったんです」。彼女が劇中に指をくるっとする仕草は、まさに現代に合った、ワンダの超能力の出し方なのだ。
「普段は物を破壊し、火をつけ、風や煙をつくるスペシャルエフェクトチームが、本作品では操り人形の操り師のようで、見ていて新鮮でした。磁石の異なる極同士の反発力を使って物を空中に浮かばせたり。彼らが当時、実際に行われていたような特殊効果の手法を用いるのを見るのは素晴らしい経験でした」
9.モニカ・ランボーとアグネスのオリジンストーリー
大人版モニカ・ランボーを演じるテヨナ・パリスと、おせっかいな隣人アグネスを演じるキャスリン・ハーンは、『ワンダヴィジョン』に登場する以前のそれぞれのキャラクターの様子がそのうち明かされると話した。
「シリーズの中で、視聴者はモニカがこれまでどんな経験をしてきて、それが彼女の人生にどう影響を与えたのかという事を学べなす」とパリスは話します。
キャスリンは「これまで生み出されてきたシットコム作品には、1人は必ず入り口を突然開けてはズカズカと家に入り、ソファに座るようなキャラクターがいましたが、私たちはそんな彼らについて何も知りませんでしたよね。彼らはそこにしっかり存在する登場人物なのに。私はアグネスを演じるうえで、そんな立ち位置のキャラクターたちの背景を意識することができました」
『ワンダヴィジョン』はディズニープラスで全話配信中!