マーベル・シネマティック・ユニバースに、新たなヴィランが加わりました。
エマ・コリンが『デッドプール&ウルヴァリン』のヴィラン、カサンドラ・ノヴァ役でMCUデビューを果たしました。策略に長けたカサンドラ・ノヴァは、チャールズ・エグゼビアの双子の妹で、非常に強力なテレキネシスとテレパシーの使い手。人生のほとんどを荒れ果てた虚無空間で過ごしてきました。
カサンドラのマーベル・コミックでの歴史は長く、そのデビューはグラント・モリソンとフランク・クワイトリーによる「NEW X-MEN (2001)」#114です。『デッドプール&ウルヴァリン』では、ライアン・レイノルズ演じるデッドプールとヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンと対決することとなります。エマ・コリンをカサンドラ役として最初に提案したのは、レイノルズと監督のショーン・レヴィでした。
「ライアンとショーンは、最初から一貫していましたね」と、製作総指揮のウェンディ・ジェイコブソンは語ります。「この役については、ほかの誰かの名前があがることもなかったですね。コミックでのカサンドラはとても強力なキャラクターであり、この映画では2人の偉大なアイコンとスクリーンを共有します。デッドプールとウルヴァリンに対抗できる人物を見つけ出すのは簡単ではなかったのですが、エマは見事に演じきりました。まさに完璧なキャスティングだったと思います」。
ほかの多くのマーベルのヴィランたちが、とてつもない腕力を持っている一方で、カサンドラは決してパンチを放ちません。彼女の脅威は強力なテレパシー能力であり、それによって他人の頭の中に入り込むことができるのです(“頭の中に入り込む”とは文字通りの意味です。彼女は自分の指を使って他人の脳の奥深くにまで入り込むのです)。
コリンは役作りのために、ジーン・ワイルダーが演じたウィリー・ウォンカの象徴的なパフォーマンスや、映画『イングロリアス・バスターズ』でクリストフ・ヴァルツが演じた不気味なキャラクター、ハンス・ランダからインスピレーションを得ました。また、カサンドラの身体的な動きにも徹底的にこだわり、過去に『ザ・クラウン』で仕事をしたことがあるムーブメントコーチのポリー・ベネットの指導のもと、カサンドラの指先のわずかな動きまで完璧に仕上げました。
「コミックでのカサンドラは身軽で小柄。そんな姿を見て、強力なパワーを持っているのに軽やかなキャラクターを演じられたら、本当に楽しいだろうなと考えていました」と、コリンは振り返ります。「そこがジーン・ワイルダーにつながったんです。彼はまるで妖精のようで、浮世離れしていますが、すべてを独占して支配している。周囲で繰り広げられる混沌を一歩引いて見守っているイメージです。そんな雰囲気が魅力的に感じたんです」。
「カサンドラは、予測不能な存在でもあります」と、ジェイコブソンが付け加えます。「次に何をするかわからないという、不思議な魅力がある。彼女が悪人であることはわかっていますが、それ以上に美しい。それがスキンヘッドであってもです。どうしてあんなに素敵に見えるのでしょうか……。その美しさに惹き込まれて、信用したくなるけれど、信用してはいけない存在なんです」。
あらゆる準備を重ねていたコリンですが、本当にカサンドラの役に入り込めたのは、スキンヘッドのキャップと特徴的なベージュのコートを身にまとった自分を見た瞬間だったそうです。
「いくつか試したうえで、最終的な姿が決まりました」と、コリンが説明します。「コミックにとても忠実な形になったんですが、これが正解だったと思いますね。コミックでのカサンドラはとても印象的なルックスで、75歳にも15歳にも見える。本当に不気味な存在です。撮影初日に、カツラや義指、襟の高いコートなどの衣装や小道具を身に着けたとき、完全にカサンドラになることができましたね」。
こうして、これまで観客が出会ったことがないような、新しいマーベルのヴィランが誕生しました。
「ここまでカサンドラに共感するとは思っていませんでしたね」と、コリンは話します。「もちろんカサンドラは悪人です。ちょっと変わったヴィランですが、それは当然のこと。でも、彼女がそうなった理由もしっかりあって、それを探るのも楽しかったですね」。
『デッドプール&ウルヴァリン』は、現在公開中です。