ディズニー映画『クルエラ』は、もうご覧になりましたか。
映画史上もっとも悪名高い(そして最高にファッショナブルな)ヴィランの1人、伝説のクルエラ・ド・ヴィルの反抗的な若き時代を描いた作品です。
1970年代ロンドン、パンクロック革命の真っただ中を舞台に描かれた本作品のクルエラは、もともと、泥棒をしながらファッションデザイナーを夢見る、賢くクリエイティブな少女エステラ(演じるのはアカデミー賞Ⓡ受賞女優、エマ・ストーン)でした。トラブルメーカーの彼女を理解してくれる2人の泥棒との出会いの後、ほこりにまみれたロンドンの街で、3人は生活を共にし始めます。ある日、エステラのデザインの才能が、恐ろしくスタイリッシュなファッションレジェンド、バロネス・フォン・ヘルマン(アカデミー賞Ⓡ受賞女優、エマ・トンプソン演じる)の目にとまります。彼女らの関係はさまざまな出来事を引き起こし、ある事実が発覚。それをきっかけに、エステラは自身の邪悪な部分に目覚め、復讐にかきたてられた過激なクルエラへと姿を変えるのです。そう、それが、私たちが愛してやまないクルエラの誕生です。
これほどまでにアイコニックなディズニーキャラクターの誕生を描く映画ですから、見事な映像世界になるということは、やはり想像できますよね。クレイグ・ギレスピー監督(『ミリオンダラー・アーム』(2014)監督)のもと、本作で活躍したヘア&メイクデザイナーのナディア・ステーシー、製作デザイナーのフィオナ・クロンビー、そして衣装デザイナーのジェニー・ビーヴァンの4人に聞いた、制作裏側のとりわけ刺激的な話をお伝えしましょう。お楽しみください!
もっとも偉大なヴィランのひとりを創造するにあたり、クレイグ・ギレスピー監督が目指したこと
「ヴィランを描くのはいつだって最高に楽しいよ。妥当じゃないことを堂々とやれるんだから。ここまでやっていい、っていう枠を押し上げて、別世界のキャラクターを創造することができる。僕にとって重要だったのは、黒か白かの世界ではないっていうこと。クルエラの話なのにちょっとしたシャレみたいだけど、でも僕が創りたかったのは、グレイの世界なんだ。彼女の選択や、直面してる状況にみんなが共感できるようなね。そして、それを楽しい方法で表現したかった」
ジェニー・ビーヴァン(衣装デザイナー)がよく知る70年代のロンドンファッションと、その再来を目撃するということ
「残念ながら、私だいぶ歳を取ってるのよ」
と、控えめなジェニー・ビーヴァンが冗談を言って、他のスタッフを笑わせます。
「もちろんその時代を覚えていますよ。ちょうど大学を出て、舞台関係の仕事を始めた頃よ。映画ではなくてね。私は舞台セットのデザイナーになりたかった。洋服が買えるくらいのわずかなお金が稼げるようになった頃ね。忘れてたいろいろなことが、こうしてこの作品に携わることで、全部よみがえってくるのが本当におもしろかった。私にとって最高の瞬間は、リバティ(撮影場所のひとつに使われた、ロンドンの高級デパート)の外で最初に撮影した日。集まってる人混みを見ていて思ったのよ。"うわあ! 私もああいうのを持ってたわ!"って。まさに当時の私たちだった。とても面白い体験だったわ」
フィオナ・クロンビー(製作デザイナー)が挑戦した、手の込んだ豊かな世界をデザインすること
「一番大変だったのは、セットの数ね。この作品は撮影ペースが早くて、われわれはよく移動していました。違ったセットで撮る、小さくも重要なシーンがたくさんあったんです。だからとても忙しかったですよ。一連の撮影を通して120余りのセットを作る必要がありました。それは、巨大なものもあれば、小さな部屋ということもあって。でも、私がこの作品に関して一番うれしかったことのひとつは、それらのセット一つ一つにおけるディテールのレベルでした」
事実、フィオナと彼女のチームは本作の撮影中、あまりにも忙しく動いていたため、次のプロジェクトに入ってちょっと違った感覚を持ったそう。
「別の映画の制作中に、ときどき感じたんです。何かが足りない、あんまり忙しくない、どうしたんだろうって」
そう言って笑っていました。
ナディア・ステイシー(ヘア&メイクデザイナー)が感じた、クルエラを象徴するヘアスタイルに関する意外なジレンマ
「撮影中は本当に、かつらを作るのに忙しかったんです。白い髪が手に入らなくて。特別な方法で作られているので、手に入りにくかったんです。エマ・ストーン用に、しばらくふたつしか持っていませんでした。そのふたつでなんとか使い回していたんです。たとえば前髪のあるボブヘアの時、前髪は別のパーツなので、その部分を変えました。取り外したり、付け足したり。そういった調整でいろいろなクルエラを表現しました。それから、衣装担当のジェニーが何をしてるか、彼女が衣装をどう変更しているかを見て、全体を調和させたんです」
彼女はこう続けます。
「フィオナの言う通り、ペースの早い撮影でした。われわれはいつも移動していました。ロケ地を変えたり、シーンを変えたり、彼女と一緒にいる時間は毎日が変化の連続で、夜や、彼女が来る前、朝にスタイリングしたり、時にはエマの頭の上に乗っている状態でもスタイリングしたりしていました。全てが本当に素早い転換作業でした。でもとても楽しかった」
ジェニー・ビーヴァンがクルエラとバロネスの衣装制作にあたり影響を受けた、実在のデザイナー
「クルエラは実際、脚本から抜け出て来ていると思いました」
と彼女は説明します。
「彼女はいつも違ったスタイルで、多様性に富んでいたので、インスピレーションはさまざまでした。私はとにかくたくさんのものを見たんです。そして、そこから離れて、物語の糸となりそうなものを引き出していく。ヴィヴィアン・ウエストウッドやアレキサンダーマックイーン、ジョン・ガリアーノ、ボディマップ(80年代初期の影響力のある英国デザイナー)、それから、ビバ(象徴的なロンドンのショップ)のような、私の若い頃のファッションも調査してみました。かつて大好きだった物を探してみたんです」
バロネスについて彼女はこう言います。
「バロネスがどういう人間か、どこから影響を受けているか、そして現在はどうなのか、ということを理解すれば、彼女はじつはすごく明解です。50年代、60年代の偉大なファッションデザイナーたち、ディオールとバレンシアガの影響があるのは明らかです。バロネスはすごくいいデザイナーなんです。ただちょっと彼女の時代は過ぎてしまった感がある。でも、ジェーン・ローという衣装制作者と作業してクリアになりました。2人で、彼女のスタイルを見つけたんです。わかりやすく非対称で、ぴっちりタイトで、とても"気取った"感じ、と言っていいと思うわ。楽しい作業でした!」
またビーヴァンはこう話しています。
「私はファッション・デザイナーではなく、洋服を使ったストーリーテラーなんです。事実、私は生活の中でそれほど洋服には興味がありません。ただ、ファッションで物語を語ることが大好きなんです。だから、私にとってまさにやりがいのある作業でした」
クレイグ・ギレスピー監督が、本作のストーリーにダルメシアンをどう取り入れたか
「『101匹わんちゃん』では、全編を通して、明らかに犬たちの役割が大きい。でも、僕は犬たちをもっと現実的なやり方で取り入れたかったんです。ストーリーには時間をかけましたよ。ダルメシアンの役割と、彼らとクルエラの関係性の部分でね。犬たちはクルエラの感情の移り変わりと、密接に関わり合ってるんです。出演者たちの仲間である彼らがいて、それが楽しめるようになって、それから、犬として信ぴょう性のある、現実に合ったシーンを創作しました。彼らはある意味、脇役キャラクターですね。性格や感情もある。彼らの見せ場もありますよ」
クレイグ・ギレスピー監督が語る、クルエラと2人の仲間、ジェスパー(ジョエル・フライ)とホーレス(ポール・ウォルター・ハウザー)の間の化学反応
「それが本作の肝なんだ。僕らは、彼ら3人という"家族"を制作したようなものなんだ。それぞれがまったく違った役割を演じてる。僕はポールとは別の映画で仕事をしたことがあるんだけど、本作でも彼とやるのはすごく楽しかった。彼はユーモアを演じていても、その下に人間の痛みが見えるんだ。だって、ユーモアは痛みから来るものだったり、痛みの歪んだ形だったり、隠しているものだったりするわけだから。彼はユーモアを使って、そういう層を表現してくれる。ジョエルは話しやすい人だね。寛大なんだ。彼が作品のハートの部分だった。クルエラにとってはモラルを示してくれる存在だ。クルエラに兄弟のように接してる。あの3人は、本当に見事に調和したと思ってるよ。彼らがお互いに反応し合えるように、アドリブで演技できる余白を作っておいたんだ。才能ある人たちだから、彼らが部屋で過ごしているシーンは、本当に力の抜けた、自然な感じになったね」
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