お姫様と王子様は末永く幸せにくらしました…で終わるハッピーエンドから、恋する2人が乗り越えなければいけないさまざまな問題を解決しての大団円まで、いろいろなケースの恋のはじまりと成就の仕方を、映画の作られた順番に紹介します。

お姫様抱っことはまさにこれ！
『白雪姫』（1937）

【恋のはじまり】
望みの叶う井戸に向かって「すてきな人が現れますように」「愛の言葉を私にささやいて」と白雪姫は願いを歌います。その歌声に運命の恋を感じた王子様は、白雪姫に求愛。それを女王が見ていたために、白雪姫に女王の魔の手が伸びます。

【成就の経緯】
幾多の困難を乗り越えた白雪姫がついに女王の毒リンゴに倒れます。こびとたちは白雪姫をガラスと黄金で作った棺に安置。その噂を耳にした白雪姫を探し続けていた王子が訪ねてきて「変わらぬ愛をあなたに誓おう」と歌い、跪いて口づけます。

軽く伸びをして白雪姫は目を覚まします。こびとや動物たちが大はしゃぎする中、王子は白雪姫をお姫様抱っこ。二人はいつまでも幸せに暮らしました。

絶望的に思う人生も変えられる！
『シンデレラ』（1950）

【恋のはじまり】
「信じ続けてさえいれば　いつか必ず　夢はかなう」。シンデレラはそう信じていますが、夢の内容は口にしません。口にすると願いごとはかなわないから。
王子の結婚を願う王が、お見合いの意図で開いた舞踏会。多くの姫君が集う中、気乗りしない王子はシンデレラを見かけてひと目で恋に落ちます。その気分を、天国の鍵を手に入れたよう、と表現しています。

【成就の経緯】
12時にガラスの靴を片方残して帰っていたシンデレラは、継母と義理の姉たちの様々な妨害をはね退けてガラスの靴適合のテストに合格。

次の場面は結婚式で、純白のドレスに身を包んだシンデレラは王子と一緒に素敵な馬車に乗り込み、物語はハッピーエンドとなります。

シンデレラの夢は、いつか幸せになるというもの。人生を変える術を持たなかったシンデレラにとって、舞踏会に行くことこそ未来を切り拓く唯一のチャンスだったのでしょう。

何ものにも勝る運命の恋！
『眠れる森の美女』（1959）

【恋のはじまり】
16歳の誕生日、呪いが実行されないよう森の奥深くで暮らしていたオーロラ姫は1人の青年と出会います。彼は隣国の王子フィリップ。ひと目で恋に落ちた2人でしたが、なぜか毎晩、相手の夢を見ていました。実は親の決めた婚約者同士だった2人。名前も身分も明かさないまま、その晩、会う約束をして別れます。

しかしその夜はオーロラ姫がお城に戻る日。泣く泣くお城に戻ったオーロラ姫は呪いの解ける前に糸車の針に触って眠りにつき、知らずに森の家を訪ねたフィリップ王子もマレフィセントに捕らえられてしまいます。

【成就の経緯】
フィリップ王子は3人の妖精フローラ、フォーナ、メリーウェザーから託された美徳の楯と真実の剣を使ってお城にたどり着き、眠るオーロラ姫にキスをし、呪いを解きます。2人は手を取り合って現れ、状況が理解できていない親たちに挨拶。チャイコフスキーの組曲「眠れる森の美女」の"ワルツ"を踊るのでした。

2人の恋は運命で、運命は何ものにも勝るという物語です。

一途な恋は契約より効力がある！？
『リトル・マーメイド』（1989）

【恋のはじまり】
海を取り仕切る人魚トリトン王の末っ子で7番目の王女アリエルは、嵐の海に投げ出されたエリック王子を救います。エリックは助けてくれたアリエルの歌声に恋をし、アリエルも心に誓います。必ずエリックの世界の者になって会いに行くと。

海の魔女アースラの陰謀に乗って、アリエルは人間になるのと引き換えに声を奪われてしまいます。しかも3日目の日没までに王子がアリエルに恋し、キスしなければアースラのしもべとなる約束。それでもアリエルは果敢に王子の元へ行きます。

【成就の経緯】
アースラの魔法で王子はアースラが姿を変えた美しい声の娘をアリエルと勘違い。アースラと船上で結婚式をあげることに。魚たちの協力で結婚式は阻止され、アリエルの魔法も解けますが、アースラは契約を盾にトリトン王の力を奪い海の支配者に。

アリエルとトリトン王を救ったのはエリック。トリトン王も結婚を認め、アリエルとエリックが両国の架け橋となるハッピーエンド。

恋とは自分の居場所を見つけることでもある
『アラジン』（1992）

【恋のはじまり】
法律で縛られた結婚を嫌い、アグラバーの宮殿を抜け出した王女ジャスミンは、市場のリンゴを無償で子どもに与え、騒ぎを起こします。ジャスミンの美しさに見惚れていた孤児のアラジンは機転を利かせて彼女を助け、2人は意気投合します。

魔法のランプの精ジーニーを仲間にしたアラジンは、彼の魔法でアリ王子に変身。宮殿を訪ねます。

【成就の経緯】
アリ王子としてジャスミンのハートを射止めたものの、アグラバー王国の乗っ取りを企む右大臣ジャファーによって正体をばらされ追放。アラジンはアグラバーを救うため、宮殿に戻ってジャファーと対決します。素性がばれても、国王にもその人間性を認められてゴールイン。

貧しくも清い心の持ち主でダイヤの原石である青年が、王女と出会ったことで自分の居場所を見つけ出す物語。『シンデレラ』の逆バージョンともいえるハッピーエンドです。

一緒にいられるなら何もいらない！が真実の愛
『プリンセスと魔法のキス』（2009）

【恋のはじまり】
亡き父と約束したレストランを開業するため寝る間も惜しんでティアナと、無責任で役立たずで女たらしなマルドニア王国から来た王子ナヴィーン。ニューオーリンズを支配しようとするブードゥーの魔術師ドクター・ファシリエの呪いによってカエルになってしまう2人ですが、正反対の性格ゆえこの段階ではおよそ恋に発展する要素はありません。

【成就の経緯】
呪いを解く方法は、ナヴィーン王子がプリンセス（ティアナ以外の女の子）とキスすること。沼地に住む197歳のブードゥー・クィーン、ママ・オーディに2人はそう教えられます。

お互い得意とする料理やダンスを教え合い、夢を語りながら、ドクター・ファシリエの魔の手から逃げるうちに2人は恋を自覚。プリンセスとのキスを諦めてカエルの姿のまま結婚します。すると呪いが解けて2人は人間の姿に！結婚によってティアナがプリンセスになったからでした。

ひたむきな人間には楽しみが、楽しさばかりを求める人間には努力が必要ということに気づくハッピーエンドです。

伝統的だけど現代的なハッピーエンド
『アナと雪の女王2』（2019）

【恋のはじまり】
『アナと雪の女王』（2013）でクリストフの愛に気づいたアナ。それを示唆したのはなんとオラフ！「愛というのは 自分よりその人のためを想うこと。クリストフが君をハンスの元に残したように」と教えてくれたのでした。

『アナと雪の女王2』でクリストフは今夜こそアナにプロポーズしようと素敵なタイを買って準備万端です。でも指輪を掲げて切り出そうとするも、アナは様子のおかしいエルサが心配で心ここにあらず。

【成就の経緯】
国の受難を克服した姉妹エルサとアナは無事を確かめ合いノーサルドラとアレンデールの架け橋に、また精霊たちと人間をつなぐ第5の精霊も判明し、オラフも復活してハッピーエンドとなります。最後に残ったのはクリストフのプロポーズ。エルサやスヴェン、オラフの見守るなか伝えたプロポーズは、アナの「いいわ！」のひと言で承諾されます。

様々な試練の中で育んできた愛は伝統的なやり方でハッピーエンドを迎えますが、最終的に国も人々も愛で結ばれるというより大きな愛の物語として結実します。

＊本記事の作品公開年はアメリカ公開の年を記載しています