主演&監督&プロデューサーが、日本式作法で新作をアピール。3人からは、その製作秘話や熱い思いが次々とコメントされました。
「不思議の国のアリス」のその後を映画化し、大ヒットを記録した『アリス・イン・ワンダーランド』から6年。アリスの新たな物語を描き出す『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』がついに日本でも公開されます。
公開を前にアリス役のミア・ワシコウスカ、ティム・バートン監督からメガホンを引き継いだジェームズ・ボビン監督、ティムとともに製作を務めたスザンヌ・トッドプロデューサーが来日。映画に登場するお茶会のシーンと、和のおもてなしの心を融合させたジャパニーズティーパーティースタイルの会場で、記者会見ならぬ“お茶会見”が行われました。テーブルには金平糖や紫陽花を模したゼリー菓子、うちわの形の焼き菓子などが並べられ、パステル調でまとめられた障子などのしつらいはまるで”アリスの茶室”のよう。四季を重んじる日本ならではティーパーティーでの、なごやかな会見の様子をお届けします。
Q“お茶会”のシーンと、日本の“和の心”を融合させた“ジャパニーズティーパーティー”の感想は?
スザンヌ「世界各国でお茶会形式の記者会見をやってきましたが、日本のお茶会見が一番素晴らしいですね。ウツクシイ(日本語で)!」
ジェームズ「僕はお茶が大好きなイギリスの出身なのですが、日本のお茶会はイギリスで親しんでいるものよりもカラフルできれいですね。この映画で描かれているマッドハッターとタイムの出会いのシーンのようです。(招き猫のお菓子を手にしながら)これは食べるのがもったいないくらいですね!」
ミア「ディティールが素晴らしくて、本当に美しいです」
Q本作に込めたメッセージをお聞かせください。
スザンヌ「ワンダーランドはアリスの潜在意識を描いたもので、それを見ればアリスの心のなかを理解することができます。この映画のテーマは“時間”。サシャ・バロン・コーエンが演じる新しいキャラクター<タイム>は、時間の大切さを教えてくれる存在です。この映画を観た人たちは、愛する人たちと一緒に時間を共有することがいかに大切かということに気付くと思います」
前作『アリス・イン・ワンダーランド』は、ルイス・キャロルの原作を基に、監督ティム・バートンが独自の解釈で19歳のアリスを主人公としたファンタジックな物語。白いウサギに導かれ「アンダーランド」という不思議の国に迷い込んだアリスは、赤の女王に支配され荒れ果てた世界を目にします。住民たちはアリスこそ救世主として赤の女王を倒してくれると信じ戦いに挑んでゆくことになります。
そして今作は、それから3年後という設定。再びアンダーランドを訪れたアリスが見たのは、「過去」にとらわれ「現在」を忘れたジョニー・デップ演じるマッドハッター。アリスは彼を助けるために時間をつかさどる<タイム>に逆らい過去に戻り危機を迎えますが、その中で解き明かされるのは、アンダーランドがなぜ今のような姿になったのか。そして「時間」の本当に意味に気付かされます。今作の見どころはアリスの成長した勇敢な姿。そんな彼女がふたたびアンダーランドへ冒険に出かけてゆきます。
Qアリスは前作では信じることの大切さを学びました。本作でアリスが学んだこととは?
ミア「映画の最初の方で、アリスは過去を変えようとしますが、やがてその瞬間を生きることの大切さを学んでいきます。過去を受け入れ、自分は一体誰なのかを学んでいく。自分にとっての大切なものの存在を知り、未来に向かって進んでいく姿が描かれているんです。私自身も日々、学びの積み重ねだと思っています。もし自分にとって良くないことでも、そのなかから何かを学ぶことはできますし、ポジティブな形で未来につなげられるはずです」
Qアリスの成長をどのように感じましたか?
ミア「前作のアリスはまだ自分自身を見つけていなかったと思います。けれども今作ではアリスは経験を積み、父親から引き継いだ船で船長としての仕事をして、自信を持っているんです。私も女優としての経験を重ねて、この映画には何が必要なのかということも、わかるようになってきました。自分とアリスの道のりは、とても似ていると感じています。このシリーズのお陰で、グリーンバックの前で目線を決めるためにテニスボールを相手にするお芝居も学びました(笑)」
今作のアイデアソースは『鏡の国のアリス』で、数々の奇妙なエピソードを再び見事な脚本に仕上げ、それを映像にしたのがティム・バートンの大ファンでもあるというジェームズ・ボビン。軽快なユーモアのセンスも光ります。
Qティム・バートン監督の世界観を、どのように引き継ぎましたか?
ジェームズ「前作でティム・バートンが作った世界観が基礎になっています。その素晴らしいクリエイションをベースにして、原作にあったジョン・テニエルの挿絵のようなビクトリア朝の雰囲気を取り入れました。だから1作目とは時代もロケーションも変わっています。大好きなルイス・キャロルの原作に頼るだけではなく、インスパイアされたキャラクターやシーンも登場します。例えば今作から登場する<タイム>というキャラクターは、原作の一節からヒントを得て想像を膨らませることで誕生しました。原作と同じようにチェスのシーンもあったりするので、原作ファンの人にも楽しんでもらえると思います」
Q ティム・バートンと話し合ったことは?
スザンヌ「ティム・バートンとは音楽やビジュアル、ストーリーなど、たくさんの要素について話し合いました。ティムが得意としている絵を描いて、説明してくれることもありました」
Q この映画の製作の過程で、“時間”はよき友人になってくれましたか?
ジェームズ「映画を作っているとき、時間は友人にはなってくれません(笑)。でも時間は僕たちから何かを奪うこともあれば、与えてくれることもある。素晴らしい人たちと一緒に素晴らしい作品を作ることができて、とてもラッキーでした」
スザンヌ「まるで冗談のように時間に追われる立場でした(笑)。撮影が終わってからのポストプロダクションにも時間がかかる作品だったので、時間の使い方には苦心しました」