ミッキーマウスやドナルドダックの友だちとして、世界中で愛されてきた犬のグーフィー。実は彼にはマックスという名の息子がいることをご存知でしょうか。グーフィーがマックスと猫のワッフルズと暮らすにぎやかな毎日を描いたテレビアニメーション『パパはグーフィー』(1992)には、これまであまり知られてこなかった彼の素顔が描かれています。
デビュー当時は「グーフィー」じゃなかった!?
グーフィーのデビューは1932年。ミッキーが指揮者を務める楽団の演奏が楽しい短編映画『ミッキー一座』で、ピーナッツの袋を抱えて観客席に登場します。演奏中にうるさい音をたててピーナッツを食べたり、特徴的な大声で笑い出す、ちょっと迷惑な観客として登場した彼は、当初、ディピー・ダウグと呼ばれていました。
出演シーンはそれほど多くありませんでしたが、ユニークなキャラクターが注目され、それから2年後の1934年にも『ミッキーの芝居見物』に出演。ミッキーマウスが子どもたちのために開いたショーの出演者として、馬のホーレス・ホースカラーと牛のクララベル・カウと一緒にアクロバットの演目を見せています。
ホーレス・ホースカラー
クララベル・カウ
ちなみにこの作品以降、グーフィー(英語で「まぬけな」「とんまな」という意味がある)と呼ばれるようになり、ミッキーマウスやドナルドダックとの共演はもちろん、自分の名前を冠した短編シリーズが作られるほどの人気を集めるようになりました。
そんな彼が父親としての顔を見せているのが、アメリカでは1992年から放送されたテレビシリーズ『パパはグーフィー』。シングルファーザーのグーフィーが様々なトラブルに巻き込まれながらも息子マックスとともにマイペースに日々を楽しんでいる様子が綴られていきます。マックスのために作っていたミートボールで卓球をしてしまったり、掃除機で家中の物をなんでもかんでも吸い込んでしまったりと、グーフィーにしかできない家事も登場。マックスに勉強の大切さを教えるために自ら息子と同じ学校に通い始めた時には、あまりのおとぼけぶりに周りの生徒たちから笑われ、マックスを戸惑わせます。そのほか、『パパはグーフィー』には、お化け屋敷のようなお城と"怪物"を残して亡くなった大叔父のフランケングーフ博士など親戚たちにまつわるエピソードなどもあり、グーフィーについてより深く知ることができます。
グーフィーの友人でミッキーの天敵は!?
『パパはグーフィー』には、グーフィー親子のほか、隣人でグーフィーの学生時代の友人でもあるヤマネコのピートが登場します。
ピート
大きな体に野太い声のピートは、ミッキーマウスの天敵としても知られていて、ミッキーマウスのデビュー作である1928年製作の『蒸気船ウィリー』にも出演しています。『パパはグーフィー』の中では、中古車販売店を経営しながら、妻ペグと息子PJ(ピート・ジュニア)、娘ピストルと暮らしています。常に自分が得をすることを考えているピートは、なにかにつけグーフィーを利用しようとします。例えば、ポーカーに勝って競走馬を手に入れたなら、馬のトレーニングと体重調整をグーフィーに任せ、自分はその馬で一攫千金を狙うなど!
悪巧みでグーフィーを困らせるピートですが、当事者であるグーフィーはそれほど気にしていないように見えるのが不思議です。基本的にグーフィーは、とてつもなくポジティブで人を疑うことを知りません。そのお人よしさはPJが驚いてしまうほど。でも結局は、グーフィーの方が、ピートよりもいい結末がむかえられるところに、グーフィーの底知れぬ魅力とパワーが隠されているようです。
そんなグーフィーですが、愛する息子マックスにかかわることだけは別。自宅にやってきたピートが、マックス用のマシュマロを食べてしまった時には、珍しく怒りの表情を見せます。
おとぼけグーフィーの息子の性格は!?
グーフィーの愛を一身に受けながら育ってきたマックスは、ダンスとスケボーが得意で、スパゲッティが大好きな現代っ子。隣に住むPJと仲良しで、スケボーを教えてあげたりしています。顔はグーフィーによく似ていて、癖っ毛がチャームポイント。父親に比べてずいぶん頭の回転が早いせいか、ドジばかりしているグーフィーを少し残念に思っています。
PJから父親に似ていると言われて怒り出したりもしますが、心の中では深く愛し、彼のことを傷つけてしまうことを恐れています。グーフィーとマックスは、1995年の長編映画『グーフィー・ムービー/ホリデーは最高!!』や続編となる2000年の『史上最強のグーフィー・ムービー/Xゲームで大パニック!』でも共演しています。こちらでは、恋をするほど成長した高校生のマックスや、大学生生活を楽しむマックスの姿を見ることができます。
息子マックスとともにマイペースを守って、のんびりと人生を楽しむグーフィーの姿が、忙しい毎日を送る私たちに元気を与えてくれる『パパはグーフィー』。知れば知るほど好きになるグーフィーの魅力でいっぱいです。