1994年、壮大なアニメーション映画として誕生した『ライオン・キング』は、その後ブロードウェイのロングランの舞台となり、そして今、映画界で魔法とも言うべき最先端の映像技術によって、"超実写版"として進化してよみがえりました。
でも、今回の『ライオン・キング』はこれまでとちょっと違います。ゴーグルを装着し操作盤をコントロール、360度どっぷりとその世界に没入するかのように、アニメーション映画で観た景色を目撃することになるのです。例えば、空の鳥や、地上の虫の目線でプライドランドを味わうこともできますし、象の墓場に足を踏み入れるような体験だって可能です。
そんな新たな映像体験をもたらす映画をみなさんにご紹介するのは、マーベル映画『アイアンマン』(2008)や実写版『ジャングル・ブック』(2016)の監督として知られる、世界を代表するフィルムメイカーであるジョン・ファヴロー。彼が今作品『ライオン・キング』において、メガホンを取りました。
ジョン・ファヴロー監督と彼のチームは、2019年公開の『ライオン・キング』制作にあたり、毎日作業を重ね、この作品世界を作り上げました。バーチャルなセットの調整、木々や象の鼻などに至るすべてに手を加え、シーンを撮影していきました。こだわりのディテールを組み入れることで、観客をストーリーにより深く没入させることを目指したのです。
「観客のみなさんが、単なるVFXによる制作物を見ているのではなく、実写で撮られた生き物を見ているかのようにリアルに感じられるようにと願いました」と、ジョン・ファヴローは語っています。
これは、ハリウッドにおいてほとんど見られない手法ですが、ジョン・ファヴローの『ジャングル・ブック』に関わった人間にとっては初体験ではなかったようです。今回の制作に使われたような最先端の技術は、たいていの場合は、派手なアクションシーンや、宇宙のシーンに限って使われていますが、ジョン・ファヴロー監督は、制作過程における最も画期的なことのひとつとして、この技術を"小さなこと"に試用したのです。
「"1枚の葉っぱがどう見えるかとか、水の動き方とか、風が草を揺らす様子だとか、そういうことを本気で観察して、本当に美しく制作してみよう!"って言えるのはうれしかったよ」と彼は言っています。
演技や様々な動きについても、他の映画とは異なる方法で撮影されました。俳優たちは音声を録音するためのマイクと、自身の顔、演技を撮影するためのレンズの長いビデオカメラを付けて、防音室に入りました。即興による演技を引き出すために、彼らはたいてい一緒に演技をしました。音声録音はもちろん、演技の繊細さにも重点が置かれたのです。「俳優同士が目線を合わせるタイミング、外すタイミング、会話を誰がさえぎったのか、誰がそこから外れたのか、そういうタイミングを確認することが重要なんだ」それらの要素すべてがキャラクターに組み込まれているのです。
動物たちのキャラクター制作において、監督と制作チームは、ディズニー・アニマルキングダムの動画や画像、参考図書館の資料を使い、正確に描写しました。そうしてできた動物たちをその後、俳優たちの演技と統合することで、観る人たちが深い没入感を体験できるように仕上げたのです。
映画の制作を開始するにあたり、大きな問題のひとつに、いかにしてストーリーを今回の設定に合わせるか、ということがありました。今回取り入れられた手法とこの時代に合わせ、より作品が伝わるように変更された要素はいくつかありましたが、監督は、観客がオリジナルのストーリーに強い共感を持っているということも理解していました。皆さんが小さい頃から、親しんできたストーリーであるはずですから。
今回の作品について、ファンの皆さんがとりわけ楽しみにしているのがキャストではないでしょうか。シンガー、音楽家、ダンサー、女優、ファッションデザイナー、映画制作者、母親…、数えきれないほどの顔を持ち、現代の大スターとも言えるビヨンセが、その1人です。彼女のように才能あふれる人(また彼女ほどに多忙な人)がいるでしょうか。彼女のぎっしり詰まったスケジュールの間を縫って、ナラの声をレコーディングするのは簡単ではありませんでした。それでも現場に来ると、彼女はプロ意識の塊のような人でした。
「彼女は完璧に準備していたし、本当に一生懸命な人だよ。多くの分野で成功を収めているのも不思議はないね。彼女の映画を観ると、映画製作というものを本当に理解しているというのもわかる。好奇心が旺盛で革新的な人だよ」とファヴローは言います。
それからもう1人、ドナルド・グローヴァーがシンバ役にキャスティングされたことも、ファンにとってはたまらないのではないでしょうか。彼との今回の仕事において、ファヴローがとても喜んだのは、ムファサ役のジェームズ・アール・ジョーンズとのコラボレーションが見られたことのようです。ジェームズは1994年のオリジナルアニメーションの時にも声優として出演していました。
「ドナルドはまさに時代の人だよ。クリエイティブで新鮮だ。そしてジェームズは作品に歴史の重さをもたらしている。彼の声には深い味わいがあって、ムファサに通じるものがあるんだ。ドナルドとジェームズの共演が実現したことで、未来と過去に片足ずつ踏み込んでいるような作品になった。まさにこの物語にふさわしい」リアルなサークル・オブ・ライフ(生命の環)ですね。
この作品に関しネットを騒がせている、大きな疑問を彼にぶつけてみました。これは実写なのか。もしくはアニメ―ションなのか。監督の答えはこうでした。
「難しいな、実際のところどちらでもないんだ。何を基準に置いて判断するかによるから。本物の動物は登場しないし、本物のカメラもなくて、演技を撮影したわけですらないしね。かと言って"アニメーション"という言葉から期待されるものとも違う。観客にもこれまでと違う見方を要求する作品だよね。観客は自分が何を見ているのかを理解しようと注意深くなるはずだから。」
この作品を、アニメーション映画、実写映画、もしくは全く違う何か別のものなど、それぞれ自由にカテゴライズしたとしても、確かなことはひとつ。実際に観てみればこれがこれまでにない新しい体験であることがわかる、ということ。
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『ライオン・キング』

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