アメリカで1934年に公開された映画『かしこいメンドリ』でデビューして以来、ディズニー最多の出演作品数を誇るドナルドダック。にぎやかでおしゃべり、怒りっぽく、コミカルなアクションと青いセーラー服で知られ、ガールフレンドのデイジーダックと一緒にいる姿が印象的な彼ですが、家系図が作られるほど由緒正しい家柄の子孫という、驚きの背景があります。
故郷であるダックバーグを設立したコーネリアス・クートの流れをくむ父クックモアダックと、スコットランド出身のマクダック一族の末裔である母ホルテンス・マクダックの間に生まれた彼は、デビュー以来、主演、助演を問わず、約200本もの短編映画シリーズに出演。多くの家族や親戚たちとも共演してきました。
そんな中で、家族たちとの関係が最も丁寧に描かれているのが、母方の伯父(母の兄)であるスクルージと、姉デラの三つ子の息子たち、ヒューイ、デューイ、ルーイが登場する『ダックテイルズ』。もともとはコミックのキャラクターとして親しまれてきたキャラクターたちを主人公に、1987年にテレビアニメーションシリーズとして作られ、30周年を記念して新たなバージョンが制作されました。
話は就職活動を始めたドナルドが、同居していた甥っ子たちを自分の伯父であるスクルージ・マクダックに預けるところから始まります。
スコットランドの貧しい家に生まれたスクルージは、靴磨きをして初めて稼いだ10セント硬貨を手にアメリカに渡り「努力すればどんなことも成し遂げることができる」という信念で、ダックバーグで一番の大富豪となりました。チャールズ・ディケンズの小説「クリスマス・キャロル」の主人公で、守銭奴として知られる商人と同じ名前を持つ彼はお金が大好きで、大きな金庫に詰まった金貨の中で泳ぐことが趣味という人物です。
「家族はトラブルのもとだ」が口癖で、孤独に暮らしているスクルージですが、10年前までは、甥のドナルドダックや姪のデラと一緒に世界中をかけ回る冒険を続けていました。しかし、あることが原因でそんな生活をやめてからは会社の経営に没頭するようになり、ドナルドダックとの仲もすっかり冷め切ってしまっていたのでした。
そんな彼のもとに預けられたのが、ボーイスカウト「ジュニア・ウッドチャック」で学んだ知識を生かして困難を乗り越える長男ヒューイ(赤い服)、思いついたら即行動でトラブルを巻き起こす次男デューイ(青い服)、お調子者の末っ子ルーイ(緑の服)という三つ子たち。
伝説の大おじさんの家を訪ねたことで大喜びの彼らは、屋敷中を飛び回り、家政婦ミセス・ビークリーの孫で、スクルージの大ファンでもある女の子ウェビーと友だちになります。スクルージ邸で育ち、活動的で好奇心いっぱいの彼女は、マクダック家にまつわる調査を独自に続けているという一面もあります。
エネルギーにあふれた子どもたちを最初はうるさく思っていたスクルージですが、やがて、忘れていた冒険への情熱を取り戻し、彼らを連れて失われた宝石の眠るアトランティスや、前人未踏のネバレスト山へと出かけていきます。しかし、わくわくするような体験に心を踊らせる三つ子たちとは対照的に、彼らをタマゴから育てたドナルドダックの方は、彼らが危険な目に遭わないかと、いつもハラハラしながら見守っているのです。ちなみにこのシリーズに登場するドナルドの衣装がトレードマークの青ではなく、黒のセーラー服なのは、コミックブック時代の衣装に合わせているからなのだとか。
シリーズが後半へと進むにつれて、三つ子の誕生を控えていたドナルドの姉デラが、なぜ姿を消してしまったのか?という謎も明らかになっていきます。当時まだタマゴだった三つ子は、母親に会ったことがありません。カギを握るのは、屋敷の中で母が書いたと思われるメモを見つけたデューイ。はたして、優秀なパイロットとして知られていたデラの居場所を突き止めることができるのでしょうか。
『ダックテイルズ』には、そのほかスクルージの両親であるファーガス・マクダックとダウニー・マクダックも姿を見せます。
スクルージが先祖代々伝わる屋敷を改修した時に不老不死の魔法にかかってしまったファーガス・マクダックとダウニー・マクダック。2人はとても元気で、ヒューイ、デューイ、ルーイを案内しながら廊下にある肖像画に描かれた先祖たちの物語を聞かせてくれます。スクルージの祖父であるダーティ・ディンガス・マクダック、大弓を発明しその技術を売って大儲けしたというマードック・マクダック、財宝を貯めるのに夢中になり、屋敷の下にトンネルを作ったサー・スワムホール・マクダック――。マクダック家の偉大な歴史が伝わってきます。
母方のマクダック家の人々が多数紹介される一方、父方の親戚として登場するのが、ドナルドダックの従兄弟で、あらゆる場所で幸運と遭遇することから「運だけで生きている男」と呼ばれる、うぬぼれ屋のグラッドストーン・ガンダー。真面目で不運なドナルドダックにとっては、天敵ともいえる存在ですが、そのユニークなキャラクターが見ものです。
やんちゃでわがままな三つ子の甥たちや、伯父スクルージといった家族のことを、誰よりも愛し、献身的に尽くしてきたドナルドダック。私たちをひきつけてやまない彼のキャラクターは、脈々と続く先祖たちから引き継がれてきたものかもしれませんね。
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