映画のオープニングシーンというのは、観客にとって、作品の主人公がその後どんな出来事に直面していくのか、を予感させるシーンであることが多いです。素敵な音楽を使ったり、主人公の過去にフォーカスし作品のトーンを決めたりして印象づけるのです。作品に占めるその重要度から、製作スタッフたちは大変な時間をかけて(時には何年も)、最高の仕上がりを求めます。彼らの努力と献身に敬意を表して、今日はディズニー映画のオープニング部分に関する、おそらく知られていない7つのトリビアをお伝えしますね。
【1】『美女と野獣』(1991)のオープニングは映画公開の2,3ヵ月前に完成した
監督ゲイリー・トゥルースデイルとカーク・ワイズによると、この作品のオープニングシーンは約200回!も書き直されたんだそう。彼らの狙いは、過去から描かれているストーリーブックの序説部分にひねりを加えることでした。そのため、ストーリーは野獣の物語からスタートさせ、なおかつそれをステンドガラス画を通して展開する、という手法を採用しています。製作スタッフたちがそのシーンの最終版を完成させたのは、なんと映画公開の2,3か月前でした!
ちなみに、この部分のナレーションをしているのは、コグスワース役を演じたデヴィッド・オグデン・ステイアーズです。
【2】シンドロームは『Mr.インクレディブル』(2004)の冒頭に出演する予定だった
アクションシーンでスタートさせる代わりに、『Mr.インクレディブル」の製作スタッフたちは、より人間味のあるドキュメンタリータッチのインタビューシーンを採用しました。それによって、それぞれのキャラクターにリアルな人間っぽさを感じさせ、彼らが、彼らの考える"未来の出来事"について話している、ということを強調するようにしたのです。当初、この冒頭にシンドロームことバディ・パインが出演する予定でしたが、のちのストーリー展開の邪魔になるということでカットされました。
【3】ニモの起源となる物語は、フラッシュバックを通して語られる予定だった
この作品のオープニングは、ニモのかわいそうな生い立ちを語った感動的なシーン。
このシーンに決定する前、製作スタッフたちはフラッシュバックを使ってニモの家族に起こったことを説明しようとしていました。それが変更になると、次にマーリンがコミカルにニモに聞かせる"おやすみ前のお話"という演出が考案されました。最終的には、映画の最初の数分を使って、マーリンとニモに起こった出来事とそれによってどんなふうに彼ら2人の絆が結ばれているかを伝えることに決定しました。
【4】カジモドの生い立ちを歌で説明するというのは、作詞を担当したスティーヴン・シュワルツのアイデア
『ノートルダムの鐘』(1996)のオープニングの当初の予定は、カジモドとフロローがどんなふうに出会ったか、長い語りによって伝える、というものでした。しかしシュワルツ(アラン・メンケンと一緒に曲を書いた)は、歌によって伝える、という方法を提案。劇中で最も長いひとコマとなったこのシーンは、物語の始まりにぴったりの特別なオープニングです。
【5】シャン・ユーの軍隊は『ムーラン』(1998)の冒頭に登場する予定だった
もともとのアイデアとしては、万里の長城の向こうにシャン・ユーの軍隊が待ち構えているシーンを入れる、というものでした。しかしそれをやめ、大きな種明かしは最後の雪のシーンまでとっておくことにしました。そうすることで、ドラマチックな効果を生むことができたのです。
【6】『ライオン・キング』(1994)の始まりはもともと「サークル・オブ・ライフ」ではなかった
オープニングシーンのもともとのアイデアは、語りで始める、というものでした。しかし製作スタッフたちは、ハンス・ジマーが手掛け、レボ・Mが歌ったこの曲を聴いたとき、その当初のアイデアをまるっきり変えたのです。そのあまりの感動に、作品のコールドオープン(導入部分)で使用することを決めました。
【7】『ターザン』(1999)のオープニングシーンは、決定に3年もかかった
製作スタッフたちはこの映画のオープニングシーンを決定するのに、丸3年かかったといいます。不採用となったあるバージョンでは、ゴリラの登場から始まっていたり、また他のバージョンでは、ボートが到着していない状態から始まっていたり、いろいろな試行錯誤があったようです。
いかがでしたか。
作品の印象を決定づけるともいえるオープニングシーン。今日ご紹介したバージョンを頭に思い浮かべながら作品を観返してみてください。製作スタッフたちのこだわりと、試行錯誤の過程があらためて感じられるかもしれません。