1996年、ディズニーは世界的文豪ヴィクトル・ユーゴー原作の小説「Notre-Dame de Paris」を、長編アニメーション映画としてスクリーンに登場させました。『美女と野獣』(1992)と同じ、ゲイリー・トルースデールとカーク・ワイズの監督コンビに加え、アラン・メンケンの音楽が添えられたこの素晴らしい映画が、いつまでも心に残る、特別な作品となっている方も多いのではないでしょうか。
今日はこの『ノートルダムの鐘』(1996)の制作過程における裏話を9つお届けします。すでにご覧になったことのある方も、これから観る方も楽しめるトリビアを、どうぞお楽しみください。
【1】レコーディング中の様子がビデオ撮影されていた!?
キャラクターを演じている声優たちの癖を観察するために、彼らのレコーディングの様子はビデオカメラで撮影されていました。実は、アニメーション映画においては、よくある手法なのです。たとえば、『シンデレラ』(1952)や『ピノキオ』(1952)のような古い映画においては、フィルムに収められた声優たちの実際のしぐさなどが、映画に活用されました。
【2】キャラクターは全て手描き!
雨や景色などの多くの背景アニメーションがコンピューターで描かれていますが、キャラクターは全て、1コマずつ手描きで制作されました。
【3】ウォルト・ディズニー・スタジオの新しいビルで最初に制作されたメイン上映作品!
この時期に制作されていたほかの作品には、『ライオン・キング』(1994)『ポカホンタス』(1995)などがあります。
【4】映画の一部はパリで完成!
この作品には、パリのディズニー・アニメーション・スタジオの約100人のアーティスト、アニメーターたちが制作した10分間の映像が含まれています。パリを舞台としたこの作品の建築物や景色などに、さらなるリアルさを加えています。
【5】関わったアーティストは620人!?
完成に要したもの:
620人のアーティスト、制作スタッフたち
72,000本の鉛筆
100万枚のアニメーション・ペーパー
120万もの作業時間
【6】主役のカジモドを担当したアーティストは…
カジモドの制作を担当したジェームズ・バクスターが、いかに才能に溢れたアニメーター/キャラクターデザイナーであるかは、彼がベル(『美女と野獣』1992)やラフィキ(『ライオン・キング』1994)の制作者でもあることをお伝えすればわかっていただけるでしょうか。
それぞれに個性的で、全く異なるキャラクターですよね!
【7】ベルが出演していた!?
この画像の右下あたり、本を持って歩いているのは…そうです、ベルです!
『美女と野獣』の舞台もフランスですから、彼女が現れても全くおかしくありませんよね。
【8】大群衆はCGIと呼ばれるコンピュータ・グラフィックスで表現!
『ライオン・キング』で動物たちの群れが押し寄せるシーンには、CGIと呼ばれる手法が使われました。『ノートルダムの鐘』の中で、広場に群衆が集まるシーンでは、それと同じ手法が使われました。まず、基本となるキャラクターを1体制作し、違った衣装を着せたそのキャラクターをいくつか制作し、それを何度も繰り返すというやり方です。これだけの人の群れが、動いている状態でディズニーアニメ映画に登場したのは、この作品が初めてでした。
【9】音楽レコーディングのためにロンドンへ!?
音楽に、より深いムードと雰囲気を求めたプロデューサーのドン・ハーン、監督のゲイリー・トルースデール、カーク・ワイズは、音楽担当のアラン・メンケン、スティーヴン・シュワルツを連れてロンドンに行ったそうです。100年前のパイプオルガンを所有しているイングリッシュ・ナショナル・オペラとレコーディングするために!
いかがでしたか?
22年前に公開されたこの作品を、今も心の中で大切にしていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。まだ観たことがない若い世代のみなさんも、ぜひこの機会に鑑賞してみてくださいね。