車のナンバープレートは、数字と文字の組み合わせによって構成されています。
アニメーションの中に登場するものとなると、そこには、なにか意味が隠されていることがしばしばです。
小さくて気づかれにくいところだからこそ、秘密のメッセージを記す──ディズニー/ピクサー映画を観ていると、そんな遊び心たっぷりのナンバープレートを発見することができます。
『カーズ』(2006)のキャラクターたちに記された文字
それでは、『カーズ』に登場するキャラクターたちを見てみましょう。
まずは、フローのナンバープレートから。ネオンのあかりがまぶしくて見えにくいですが、よく目をこらしてみて。
そこには、“SHO GRL”と記されていることがわかります。これは、彼女がショー・カーであり、“ショー・ガール”でもあることを示すもの。
さらによく見てみると、プレートの上部に“MOTORAMA 1957”の文字が。
実は、MOTORAMAとは、ピクサー・アニメーション・スタジオのスタッフたちで行われる、年に一度のモーターショーの名前なのです。
そして、1957年は監督のジョン・ラセターが誕生した年。ちなみに彼は、熱狂的なカーマニアとして知られています。
続いて、フィルモアはどうでしょう。
ナンバープレートには“51237”という数字。
これは、フィルモアを演じた俳優ジョージ・カーリンの誕生日である1937年5月12日を表したものです。
ちなみに、51237はアイオワ州ジョージの郵便番号でもあります。すごい偶然ですね!
ルイジのナンバープレートの数字は“44.5-10.8”。
これは、緯度44.5、経度10.8という座標を表しています。
この数字の示す場所にあるのは、フェラーリの製造工場。でも、ルイジはフェラーリではなくフィアット社の車。
実は、映画が作られた当時は、フィアット社の傘下にフェラーリがあったのです。
1951年式ハドソン・ホーネットをモデルにデザインされたドック・ハドソン。そのナンバープレートの“51HH”という文字も、ここからきています。
その後に続くMDの文字は、彼がメディカルクリニックのドクターであることを表すものです。
『トイ・ストーリー3』(2010)に隠された数字
ゴミ収集トラックのナンバープレートに注目する前に、収集人に注目してみると…。
なんと、『トイ・ストーリー』(1995)に登場するシドが大人になった姿なのです!
ビックリですよね?
さて、本題に戻りましょう。
このトラックのナンバープレートには…
“RM237”とあります。
これは、ホラー映画の『シャイニング』(1980)に登場するホテルの部屋番号を示したもの。
いったいどうして?と思うかもしれません。
答えはいたって単純。監督のリー・アンクリッチが『シャイニング』の大ファンだったため、自分の映画の中でオマージュを捧げたのです。
“A113”のナンバープレート
ナンバープレートに部屋番号が登場する例は他にもあります。
たとえば、『トイ・ストーリー』(1995)に登場するアンディのママの車。
“A113”という文字が記されていますが、これはカリフォルニア芸術大学の部屋番号A113に由来します。この大学は、数多くのアニメーターを輩出していることで有名です。
さらに、プレート上部には”NOV”と”95”の文字。
これは、この作品がプレミア上映された1995年11月と対応しています。
実は、“A113”のナンバープレートが見られるのは、『トイ・ストーリー』だけじゃありません。
ほら、見えにくいですが、『カーズ』のメーターだってそうです。

『リロ&スティッチ』(2002)の中ではなんと3回も登場!
いかがでしたか?
アニメーション映画は、アニメーターの手によって緻密に計算されて描かれるもの。だからこそ、細かいところにもこんなに遊び心が宿っているのですね。