日本のアーティストが手掛ける、ディズニーDXオリジナル壁紙シリーズに、造形作家・デザイナーの竹谷隆之さんが参戦! BANDAI SPIRITSからリリースされる「名将 MOVIE REALIZATION」でも披露している、戦国武将風のタッチで描かれたヨーダのこだわりポイントを語ってもらった。

完成したヨーダの会員限定アート壁紙。ダウンロードして、拡大しながら細部まで描き込まれたアートを鑑賞してほしい。
――今回、題材としてなぜヨーダを選んだのでしょうか?
竹谷:
もともと、老人の造形が好きなんです。そういう意味では、スター・ウォーズのキャラクターの中で「おじいちゃん感」が強いキャラクターと言えば、やはりヨーダですよね。僕がスター・ウォーズを初めて観たのは、高校の時に公開された『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』で、そこで初登場したヨーダの印象が強く残っていたというのもあります。
今回、掛け軸などでよく見る戦国武将の肖像画アレンジで描こうと思った際に、そこにピッタリとハマりやすいキャラクターがヨーダだったという感じです。
――戦国武将画の掛け軸風に描くというのは、竹谷さんから提案されたのですか?
竹谷:
そうですね。BANDAI SPIRITSさんでスター・ウォーズのキャラクターを戦国武将風にアレンジした「名将 MOVIE REALIZATION」というシリーズに関わらせていただいているので、それと同じような世界観で行けたらというのがありました。
パソコン用の壁紙と違って、スマートフォン用ということで縦長で描いてほしいということだったので、その時に頭に浮かんだのが、縦長で描かれている武将画の掛け軸の作法が合うのではないかとも思いましたね。「名将 MOVIE REALIZATION」でヨーダが商品化されていないというのも、ヨーダを選んだ理由でもあります。
竹谷氏が手がけているBANDAI SPIRITSの「名将 MOVIE REALIZATION」シリーズの一例。「侍 カイロ・レン」について竹谷氏にインタビューした記事はこちら。
――ヨーダというキャラクターに対しては、どのような思い入れがありますか?
竹谷:
『帝国の逆襲』の頃は、CGなどの技術が無くて、パペットなどを使って撮影している。当時はそういう手法しかありえなかったわけですが、撮影現場に本物と同じような雰囲気を持つヨーダがいて、それをスタッフが動かしていた。その存在感のおかげで、表情の豊かさも含めてすごく生き生きしているなと思って観ていたんです。
後に、僕も映画の仕事に関わって、パペットを操演したりすることもあったので、そうした「スタッフが動かしていた」という親近感も含めて好きなキャラクターですね。
――フィギュアを造形するお仕事をしている竹谷さんから見て、ヨーダの造形に関してはどのような感想を持たれていますか?
竹谷:
やはり、年齢と共に深く刻まれた「シワ」が好きなんですよ。老人の造形もシワがポイントになりますからね。大体、造形をやっている人は多かれ少なかれ「シワ」を観察したり、作ったりするのが好きだと思うんです。造形をしながら、シワを入れていくと上手に出来たような気になる(笑)。
僕の場合、シワがないツルっとした美しい女性の顔は難しいんですよね。化け物とかおじいさんのようなシワが入っているほうに魅力を感じてしまう。見ていると、やってみたい、作ってみたいなと。そういう意味では、ヨーダは造形映えするキャラクターだと思いますし、作ってみたいと思わせる要素があると思います。少しだけ生えている毛なんかも、らしくていいですね。
――今回の絵はどのようなイメージで作画したのでしょうか?
竹谷:
ヨーダは長老的な雰囲気があるので、身に着けているコスチュームを昔の武具のようにしました。インスパイアされたのは、武田信玄の肖像画の1枚です。その信玄の表情がヨーダっぽかったので、今回のベースになっています。
甲冑も安土桃山や江戸時代の甲冑ではなく、もう少し昔の、大袖(おおそで)がついているような大鎧(おおよろい)や、胴丸(どうまる)と呼ばれるような感じのものが合うと思って描いています。
――描くうえで気をつけたところはありますか?
竹谷:
本当のヨーダは三頭身くらいのバランスなので、その身体的なバランスを守って描くとデフォルメしたような絵になってしまうんです。そこをもう少し人間っぽいバランスにしたいなと思いつつ、実際のヨーダのイメージから離れてしまわないようにするという部分を気をつけました。
脇に置いてある兜も、甲冑に合わせるならもうちょっと大きい飾りが付いたようなタイプが合うかなと思ったんですが、スマートフォン用のため、端の狭いところに描かないといけないので、あまり大仰な飾りが無いタイプにしました。ヨーダもそんなに派手好きではないので、阿古陀形(あこだなり)という兜の中でもわりと古い形状のものをイメージして描いています。一応、ヨーダが被ることも想定して、首周りを守る錏(しころ)も、耳を避けるような形状にしてみました。(後編につづく)
後編では、ヨーダを戦国武将風にアレンジするにあたって苦心した点などをうかがいました!
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