銀河は危険に満ちた場所だ。ライトセーバーでの斬り合い、ブラスターの銃撃戦、危険生物との遭遇──などといったことが日常茶飯事なのである。手足の損失は銀河の住人にとってかなり高い確率で発生する事故といっていい。(ルーク・スカイウォーカーをはじめ、どれだけのキャラクターが片手を失ったことか!)。
では、モールの場合はどうだろう? 犯罪が人生そのものであったともいえる彼は、それがゆえ幾度となくサイボーグ義肢の作成を繰り返すことになった。モールは、ディズニープラスにおいて配信中のアニメーション・シリーズ『スター・ウォーズ:モール/シャドウ・ロード』(2026)で、堂々たる復活を遂げた。かつてのシス卿がどのようにして現在の状態に至ったのか、その道のりをひとつずつひも解いてみよう。



生まれつきの才能?
『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)で、私たちは初めてモールと出会う。シーヴ・パルパティーンにはダース・シディアスという秘密の裏の顔があったが、モールは、恐るべき訓練を受けたシスの戦士としてそのシス・マスターに仕え、当時はダース・モールと呼称した。クイーン・アミダラ暗殺の任務を負ったモールは、ナブーへと赴き、そこでジェダイ・マスター、クワイ=ガン・ジン及びそのパダワン、オビ=ワン・ケノービと対峙(たいじ)する。
モールはその驚異的な敏しょう性をもってクワイ=ガンを倒すことに成功する。しかし、怒り心頭のオビ=ワンによって、最後には体を真っ二つに切られ、廃棄物シュートへと落とされる。



タラ・ルーピングによるモールのコンセプト・アート

タラ・ルーピングによるモールの蜘蛛型機械脚のコンセプト・アート


廃品利用の蜘蛛(くも)型脚
ナブーで体を切断された後、長らく死亡していたと思われていたダース・モールだが、ダークサイドの力を操り、オビ=ワンへの憎しみを原動力とすることで、ひん死の重傷から生還する。『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』(2008-2020)シーズン4第21話「邂逅」では、オビ=ワンへの敗北から約10年後、惑星ロソ・マイナーにおいて、モールの弟サヴァージ・オプレスがモールを発見する。
モールはこの廃物惑星に身を潜めると、以来、正気を失い、支離滅裂な叫び声と狂気じみた笑いを繰り返す状態となっていた。モールが最初に装着した義肢は、巨大な蜘蛛のそれを彷彿(ほうふつ)とさせる不気味な脚で、非常に粗雑な作りのものだった。おもに周囲のゴミから拾い集めた材料を利用して作られたこの機械脚は、モールの精神状態とその人生がいかに狂乱に満ちたものだったかを如実に物語っていたといえる。しかし、蜘蛛脚はじつに機能的で、あまりに象徴的な見た目だったため、『LEGO スター・ウォーズ/リビルド・ザ・ギャラクシー:いにしえのカケラ』(2025)では、ダース・ジャー・ジャーでさえ、その蜘蛛の脚に敬意を表したほどだ。



デイヴ・フィローニによるモールのダーク・マジック・クロー・レッグのコンセプト・アート

キリアン・プランケットによるモールのダーク・マジック・クロー・レッグのコンセプト・アート


暗黒の魔術によるクロー・レッグ(かぎ爪脚)
サヴァージの尽力により、兄弟は『クローン・ウォーズ』シーズン4第22話「復讐の狼煙」において故郷ダソミアに帰還。錯乱状態のモールは、魔術を操るミステリアスな魔女集団ナイトシスターに救われることになる。ナイトシスターの長、マザー・タルジンはモールを石の祭壇へと移し、彼の体を一旦バラバラに分解すると、その上で精神的、肉体的、そして霊的に再構築する。
彼の蜘蛛脚は新たに組み立てられた2本の脚に置き換えられた。これは近くにあったドロイド部品を魔術でリサイクルしたもので、まことに奇抜な技の組み合わせによる産物であった。コンセプト・アーティスト、アーロン・マクブライドによる2005年刊のグラフィック・ノベル・アンソロジー「スター・ウォーズ ビジョナリーズ 新たなる伝説」で登場したこの義足は、下部に鉤爪のようなグリップを備えているのが特徴的だ。



キリアン・プランケットによるモールのマンダロリアン仕様の人間型義足のコンセプト・アート


マンダロリアン仕様の人間型義足
モールは、都合3組のサイボーグ義足を装着したのだが、その最後の一組みは、『クローン・ウォーズ』シーズン5第14話「悪の同盟」で手に入れたものとなる。惑星フローラムにおける海賊やジェダイとの激しい戦闘の後、脱出ポッドでの退避に成功したダース・モールとサヴァージ・オプレスだったが、モールの脚は戦いで損傷してしまっていた。意識不明の状態で深宇宙を漂流し、死の淵(ふち)をさまよう二人。モールは運良く──そしてマンダロアの未来にとっては運悪く──プレ・ヴィズラ率いるマンダロリアンの分派組織「デス・ウォッチ」に救出されることになる。
プレ・ヴィズラはモールとその弟をデス・ウォッチのキャンプへと運び、治療を施す。そして──ご想像に難くなく──モールはその際、新たな義足を手に入れる。モールはマンダロリアン仕様の人間型義足を装着して目覚めるのだ。そして、私たちの知る限り、この義足はクローン戦争終結後、ひいては『スター・ウォーズ:モール/シャドウ・ロード』の物語が幕を開ける帝国初期を通じて彼の体を支え続けることになる。
モールの果てない復讐への執着は(そして輝くマンダロリアンの義足は)、一体彼をどこへと導くのだろう? ディズニープラスで配信中の『スター・ウォーズ:モール/シャドウ・ロード』をその目で見て確かめてほしい。
Starwars.com 2026/3/11 の記事