『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)で印象的なデビューを果たしたモール。その特徴はいつも意外な場所に姿を現すというところにある。
『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』(2008-2020)では、シリーズ中盤、モールがその死から復活、オビ=ワン・ケノービに対する復讐の鬼と化した姿で私たちの前に現れる。『スター・ウォーズ 反乱者たち』(2014-2017)では、ほとんどが新キャラクターで構成される物語の中、モールは危険な策略家として再び登場。そしてハン・ソロを主人公にした実写スピン・オフ映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018)の終盤では、犯罪王としてのモールがサプライズのカメオ出演で観客を沸かせた。
どういうわけか、まだまだ謎が多いモール。だが、だからこそ、あの存在感であるともいえる。ディズニープラスでの配信が迫る新アニメーション・シリーズ『スター・ウォーズ:モール/シャドウ・ロード』(2026)の予告編が公開された今、モールの復帰はもうすぐ。彼についてこれまでにわかっていることを、このタイミングで振り返ってみるのも悪くないのではないだろうか。

シスの脅威として登場
モールは『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』では、シーヴ・パルパティーン(あるいはダース・シディアスというべきか)に仕え、高度な訓練を受けたシスの戦士「ダース」モールとして登場する。彼はタトゥイーンにその姿を現し、クワイ=ガン・ジンとまだ少年だったアナキン・スカイウォーカーを襲撃。この事件は銀河における大きな変化を予兆したものとなる。その際、短時間ではあるが戦闘が勃発。戦いの後、オビ=ワン・ケノービは「あいつは?」と述べるが、彼の言葉はまさにこの事件のなんたるかを集約しているといっていい。
『エピソード1』では、モールは言葉よりも行動で示すキャラクターとなっている。シディアスは彼を武器としてしか見ておらず、モールは自分の任務に喜びを見出している様子。彼はクワイ=ガンを殺害し、アナキン・スカイウォーカーの未来を永遠に変えてしまう。モールは、だが、何人ものシスの弟子の中にあって、自らが使い捨てであることを学ぶ最初の人物でもある。クワイ=ガンを殺害した直後、彼はオビ=ワン・ケノービに倒される。ケノービによって腰から真っ二つに切り裂かれ、死の淵に立つモールは、この事態に衝撃を受けたのか、その表情には多少の混乱が見て取れる。
1999年に『エピソード1』を観た観客の視点から述べるなら、アクロバティックなアクションとダブルブレード・ライトセーバーを操るモールは新3部作の大胆かつ新しいエネルギーを体現したキャラクターだった。彼のあまりにもあっけない死は、『エピソード1』『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(2002)『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(2005)の登場人物全員に降りかかるドラスティックな結末を強調しているとも言えるだろう。

モールはサプライズのかたまり
初回放映当時『クローン・ウォーズ』を見ていた私たちは、エグゼクティブ・プロデューサー、ジョージ・ルーカスが結構なサプライズを仕掛けてくるだろうことは予期していたものの、まさか死んだはずのモールを蘇らせるなどとは予想だにしていなかった。モールはもちろん死んでいたわけではない。ダークサイドの力は──とくに痛みや憎しみ、怒りに突き動かされた際──極めて強力に働く。ナブーで瀕死の重症を負ったモールではあったが、なんとか生き延び、フォースの力を使って巨大な蜘蛛を思わせるグロテスクな新しい脚を作り上げていた。
惑星ダソミアの兄弟とも言えるサヴァージ・オプレスは、その存在を忘れ去られ、遠く離れた惑星において悲惨な姿で倒れている兄、モールを見つける。モールは錯乱しており、自分が何者であるかさえわからない状態だった。しかし、ダソミアのナイトシスターのリーダー、マザー・タルジンの魔術により、ほどなく蘇生した彼は、以前の精神力を取り戻し、新しく機械の脚を手に入れると、ただ一つの目標「復讐」に身を捧げることになる。ただし、それはシス対ジェダイという信奉上の仕返しではなく、オビ=ワン・ケノービに対する強い執着心から来たものだった。

仇敵オビ=ワンを追う中、破壊をもたらし続けるモールは、銀河に名だたる犯罪組織のボスへと成長、「シャドウ・コレクティヴ」と呼ばれる組織を立ち上げる。これはライバル・シンジケート間における同盟を画策したもので、シャドウ・コレクティヴは惑星マンダロアに内戦を引き起こし、同惑星の制圧に成功した。
モールはオビ=ワン・ケノービが強い愛着を抱いていたサティーン・クライズ女公爵を殺害する等、さまざまな手段を講じて幾度となく彼を挑発した。モールの目的は単にオビ=ワンを殺すことではなく、彼自身が味わったものと同様の苦しみを相手にも味わわせることだった。

しかし、モールには浮かれている暇などなかった。ダース・シディアスがかつての弟子を懲らしめに現れたのだ──そしてシディアスはこれを容易に成し遂げる。オビ=ワンに加え、シディアスもまたモールの標的となり、彼の燃えたぎる復讐の炎はさらに激しさを増す。めざといモールは、アナキン・スカイウォーカーがシディアスの計画の鍵を握っていることを誰よりも早く察知する。だが、スカイウォーカーをおびき寄せて、シディアスの計画を潰す試みは、アソーカ・タノの横槍によって失敗し、モールは捕まってしまう。紆余曲折の末、モールはオーダー66発動時にタノによって解放。一時的に共通の敵を有することになる二人だが、モールは混乱の中、銀河の果てへと逃亡するのだった。
帝国の台頭により、モールは生き残った数少ないジェダイたちと同様、追放者の烙印をおされることになる。銀河の裏社会に影響力を持ち続けていた彼は、シンジケート「クリムゾン・ドーン」のリーダーとなっていた。この時期、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』では、モールが部下キーラと会話する場面が少しだけ確認できる。この時代のモールの様子は、帝国初期の時代を舞台とする『スター・ウォーズ:モール/シャドウ・ロード』においてさらに深く掘り下げられることになるだろう。

暗黒極まる時代に
ネタバレ注意:これより以降の記事では、『スター・ウォーズ 反乱者たち』のプロット・ポイントや詳細、モールの運命が考察されています。
スター・ウォーズでは出来事が時系列順に公開されないことも多い。そのため、モールの物語が最終的にどのような終わりを迎えるのかはすでにご存知の方もおられるだろう。
『スター・ウォーズ 反乱者たち』では、新人ジェダイのエズラ・ブリッジャーがシスの惑星マラコアでモールと遭遇するストーリーが語られる。モールはどうやらしばらく同地に滞在しており、惑星の奥深くに眠る力を利用してシスへの復讐を企てているようなのだ。モールは若きブリッジャーをあっという間に籠絡して操り、彼の信頼を得るが、必要としていたシス・ホロクロンを手に入れた途端、ブリッジャーを裏切る。マラコアからの脱出前に、ケイナン・ジャラスの目を失明させたのもモールである。

しかし、モールとエズラ・ブリッジャーの繋がりは途切れてなどいなかった。モールはすぐにエズラを懐柔し、シス・ホロクロンをジェダイ・ホロクロンと融合させる手伝いをさせる。結果、二重太陽を持つ惑星と、オビ=ワン・ケノービの居場所と思われる場所のビジョンが出現する。モールはダソミアにおいて、ブリッジャーに自分の弟子にならないかと誘うが、ジェダイの訓練中だったブリッジャーはそれを拒否。オビ=ワンを探してタトゥイーンへと足を踏み入れたモールは、最後の最後にもう一度ブリッジャーを利用し、オビ=ワンの居場所を突き止める。
ついに宿敵同士が再会し、最後の対決の火蓋が切って落とされる──
が、決着は一瞬にして着いた。モールは、以前、クワイ=ガン・ジンに対して使った技を今回オビ=ワンにも繰り出したのだが、それは通用しなかった。ジェダイ・マスターは過去から学んでいたのだ。そして一方のモールはといえば、過去の栄光の中を生きていた。オビ=ワンが今際の際の宿敵を抱きかかえるなか、モールはタトゥイーンでオビ=ワンが見守る「新たなる希望」が、「俺たちの仇(あだ)を返してくれるんだろうな」と言い残し、果てるのだった。
モールにとってのすべては復讐へと帰結するが、それがつまり彼の破滅を物語っているといえるだろう。彼は過酷な悪循環にはまった犠牲者のようにも見えるが、同時に、最後の吐息の中で、非常に稀有な形の平穏と容認を見出した人物のようにも思える。誰の味方でもなく、計画を邪魔するすべての者を敵とみなし、己の欲望にのみ忠実な謎めいた存在──それがモールであった。

ルーカスフィルム・アニメーションが送る『スター・ウォーズ:モール/シャドウ・ロード』では、帝国統治黎明期を舞台に、モールが新たな解釈で描かれる。『スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー』(2022-2025)や新3部作等他のスター・ウォーズ作品と同様、物語の行方はある程度予想できるが、真にストーリーを魅力的なものにしているのは、どのようにそこへ至ったのかという部分なのではないだろうか。
筆者略歴
ルーカス・O・シーストロムは、ルーカスフィルムの寄稿ライターでありヒストリアン(歴史家)。インダストリアル・ライト&マジックとスカイウォーカー・サウンドの編集および制作アセット管理を専門とするスペシャリストでもある。
Starwars.com 2026/1/21 の記事