悪党──悪党、だって?
「悪党」と言っても、ハン・ソロあたりがたたく軽口で聞くぶんには、まあ可愛いものだが、はるか彼方の銀河でリアルな海賊に遭遇してしまった日には、顔面蒼白(そうはく)のガクブルものだろう!
欲も深けりゃ態度もでかい海賊たち。新共和国の統治など何するものぞとやりたい放題の彼らだが、視聴者の中にもすでにゴリアン・シャードやヴェインといった名前をご存じの方もいることだろう。
そしてほどなくすれば、ガンターやブルータス、あるいは(ニック・フロスト演じる)SM-33といったさらに多くの名前も知ることになるはずだ。ディズニープラス独占配信による『スター・ウォーズ:スケルトン・クルー』(2024)で宇宙の悪党たちと顔を合わせる前に、すでに銀河の偉大なるヒーローたちと一戦交えた海賊どもを詳しく見てみようではないか。では甲板に全員集合!
舞台裏
海賊はスター・ウォーズの物語では昔からおなじみの存在だ。もっとも有名なのは『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』(2008-2020)の第1シーズンでカリスマ的デビューを果たしたホンドー・オナカーだろう。
「ジョージ(・ルーカス)はホンドーというキャラクターを最初からたいそう気に入ってたよ」とプロデューサーのデイブ・フィローニは語る。「ホンドーはシーズン1第11話『囚人ドゥークー』に登場させるためにジョージが作ったキャラ。ホンドーの性格には一言では言い表せない懐の深さがある……真の悪人とは違うんだ。彼は欲に駆られて動きはするけど、相手をいじめてやろうとか、残酷なことが好きでやっているというわけじゃない」
「彼は海賊だけど、悪い奴じゃない」とオナカーの声を担当したジム・カミングスもその点に同意する。「彼には彼なりの掟(おきて)があるんだよ」
ひるがえって、海賊王ゴリアン・シャードと副長のヴェインは冷酷無比な真の悪党だ。彼らは『マンダロリアン』(2019-2023)シーズン3「チャプター17:背教者」で衝撃の登場を果たした。
「ゴリアン・シャード率いる我らが海賊たちは──その衣装のディテールに至るまで──間違いなく古典的な海賊を受け継ぐ者たちと言える」と監督のピーター・ラムジーは語っている。では彼らについてより詳しく見ていくとしよう……。
ヴェイン
ヴェインは冷酷かつ物騒ぎなニクトの海賊で、ネヴァロを訪れた際、マンダロリアンの賞金稼ぎ、ディン・ジャリンと衝突した。ネヴァロに降り立ったヴェイン一味は、そこにあった学校を酒場と勘違いし、監督官グリーフ・カルガとひと悶着(もんちゃく)起こすが、その様子をうかがっていたのがジャリンだった。海賊たちに学校に入るなと言うカルガに対し、ヴェインは、その建物はゴリアン・シャードの分け前を元に建てたのではないかと監督官に返す。その後、カルガはヴェインとの小競り合いに勝利し、シャードにメッセージを送る──ネヴァロはもはや海賊を歓迎しない、と。
しかし、海賊たちがそのまま引き下がるはずもなく、彼らは惑星を去ろうとするディン・ジャリンを待ち伏せ、発砲。危機を出するディン・ジャリンだったが、海賊たちはその後、復讐を求めてネヴァロを再訪する。スナブ・ファイターを駆って再びジャリンを狙うヴェイン。しかし、他のマンダロリアンたちが援軍としてやってくると、戦いの潮目はネヴァロ側に傾く。と、ヴェインはそこで本性を現した──彼は姑息(こそく)にも船長や仲間を置き去りにし、宇宙へと逃げ出したのだ。そして、その後、彼は『スケルトン・クルー』に再びその姿を現すことになる。
ゴリアン・シャード
ヴェインが副長として仕えた最後の海賊船長になにがあったのかを振り返ってみよう。
ゴリアン・シャードは冷血無慈悲な海賊団のリーダーで、船員定数を充分に満たしたキュミュラス級の海賊船を操っていた。船の装備はクワッド(4連)・レーザー砲4基、ミサイル・ランチャー砲塔14基といった布陣で、その発進ベイにはスナブ・ファイターを満載していた。
海賊王シャード自身の来歴については未だ謎が多い。彼の属する種族は植物を思わせる謎めいたもので、故郷の惑星についてもまるで情報がないが、その行動から鑑みるに、彼は決して衝動的に動く人物ではなかったことがうかがい知れる。シャードは、一見無防備とおぼしき街への攻撃に際しても、ネヴァロ及びその同盟勢力に関する情報を事前に収集していたからだ。貪欲にもネヴァロの街を自分のものにしようとしていたシャードは、グリーフ・カルガに対し降伏を要求すると、発砲を開始──彼の「無作法極まりない」乗組員たち(ヴェインたちのことである!)は、瓦礫(がれき)だらけとなった街路に居座り、避難に遅れた不幸な市民を恐怖に陥れた。
しかしシャードには手抜かりがあった。カルガの助けを求める声に応えて集まったボ=カターン・クライズ及びディン・ジャリンが率いるマンダロリアンたちの存在を考慮に入れていなかったのだ。クライズとジャリンが海賊船の最後のエンジンを破壊すると、同船はネヴァロの地表に突っ込み、海賊王は紅蓮(ぐれん)の炎に包まれる最期を遂げたのだった。
さて、『スケルトン・クルー』に登場する海賊たちはどんな連中だろう。心優しき者どもだったりする? ディズニープラスで絶賛配信中の『スケルトン・クルー』でぜひ確かめてほしい!
Starwars.com 2024/11/25 の記事
筆者略歴
ケリー・ノックスは「Star Wars Conversation Cards」「Star Wars Be More Obi-Wan」「Star Wars: Dad Jokes」の著者であり「Return of the Jedi: A Visual Archive」の共同著者。ダジャレはいつだってマジというスタンスだ。