「マーベル616」は全8話で構成されるアンソロジーになっており、Disney+(ディズニープラス)で独占配信中です。多角的にマーベルユニバースを捉えることができ、マーベルが現実世界にどんな影響を与えているかについても知ることができる本シリーズは、まさにマーベルファン必見!
第6話ではマーベルの中で最も人気のあるヒーローの一人、スパイダーマンについて掘り下げていましたが、初めて“彼”に会った人も少なくないのではないでしょうか。スパイダーバースの設定(この宇宙には可能性の数だけパラレル・ワールドがあり、その世界ごとにその世界なりのスパイダーマンがいるという考え方)において、アース616のピーター・パーカーだけが唯一のスパイダーマンではない事は、マーベルファンの中では周知のこと。マイルス・モラレスからゴースト・スパイダーことグウェン・ステイシーまで、男性も女性も、そして豚まで!スパイダーウェブを張り巡らす者が存在します。
そしてマイルス・モラレスにグウェン・ステイシー、そしてピーター・パーカーが存在する前から、そこには山城拓也という男がいたのです。彼はアース51778のスパイダーマンであり、初期の段階で実写化されたスパイダーマンでもあるのです。
何者なのか!?
山城拓也はピーター・パーカーとは似ても似つかない男。彼は科学者でも写真家でもなく、モトクロスレーサーなのです。そしてスパイダーマンになった経緯にも独自のストーリーが。スパイダー星人のガリアは、彼らの宇宙船をモンスター教授と鉄十字軍に攻撃され、地球に不時着します。その際に山城の父は命を落とすことに。ガリアからスパイダーマンの能力を授かった山城は、地球を守り、父の死に対する復讐を果たすため、スパイダーマンとして戦うことを決意するのでした。
スパイダーウェブを出すことができるのか?
山城は怪力であり、敏捷性も高く、壁を登るなどいったピーター・パーカー同様の能力を持っています。加えて、彼は差し迫った危険を感知するだけでなく、近接する攻撃に役立つスパイダーセンスも持っているのです。
そして、彼はピーター・パーカーと同じくいつも危険には逃げ腰で、それを友達に叱られることでスパイダーマンに変身する勇気を持ったり、スパイダーマンとしての活動を優先せざるを得なくなって、モトクロスをする時間が減ったり。運がないと感じていました。山城の場合「大いなる力には大いなる責任が伴う」だけではなく「大人の事情も付き纏う」ということを学んでいくのです。
しかし、ここで山城とピーター・パーカーの共通点は終わり。ピーター・パーカーの場合、彼はスーツを服の下に纏っているのに対し、山城は全てのアイテムをスパイダーブレスレットの中に収めています。スパイダープロテクターと呼ばれるコスチュームを収納しており、起動と同時にそのコスチュームが彼の体を覆うのです。また、スパイダーブレスレット中にはスパイダーストリングスとネットも収納。ピーター・パーカーのウェブシューターと本質的には同じ機能ですが、宇宙人ならではのテクノロジーで作られたネットは、尽きることがないというメリットがあります。
一時期、ピーター・パーカーはチェルシーにアパートを持っていました。そのアパートの特徴は、スパイダーマンとしても簡単に出入りできる天窓があることでした。山城もこれと似たようなものを持っていますが、それはより大規模なものです。そう、鉄十字軍との戦いで使ったガリアの船、マーベラー。この船を継承した彼は、スパイダーマシGP-7(彼の持つ空飛ぶ車)からアクセス後、マーベラーを巨大ロボット、レオパルドンに変形することに。
TVショーだったの?
今ここで紹介している冒険やパワー、ガジェットなどはコミック上での話ではなく、日本のテレビ番組上で描かれていたものです。藤堂新二(旧芸名:香山浩介)が山城拓也を演じ、古賀弘文と崎津隆介がスーツアクションを務めました。番組は1978年から1979年の間に計41話が放映され、まさにニコラス・ハモンドが主演したアメリカ版の実写スパイダーマンシリーズ(全13話)とほぼ同じ時期に作られたものだったのです。
また、マーベラーとレオパルドンは当時において革新的なものでした。シリーズを手掛けた東映は、スーパー戦隊(アメリカではパワーレンジャーとして知られている)や、仮面ライダーなど悪の軍隊や大型ロボットが登場する、似たような番組をたくさん制作していて、それが得意なジャンルだったのです。
コミックにも登場!
ダン・スロットの手掛けた『AMAZING SPIDER-MAN』のおかげで、ありとあらゆるスパイダーマンがスパイダーバーズの物語に登場することができました。そこにはスパイダーマンだけではなく彼の素晴らしい仲間たちも含まれています。2014年の『AMAZING SPIDER-MAN #9』では、山城拓也が初登場!そして後の『AMAZING SPIDER-MAN #12』で公式デビューを果たし、モルルンの父であるソルスのためにレオパルドンの力を最大限に引き出しました。1970年代のテレビ番組では少々おもしろおかしく描かれていた彼が、オリビア・コワペルの見事なアートによって「地獄からの使者」という異名を持った重厚感のあるキャラクターになっています。
山城拓也はその後スパイダーバースの物語の根幹に関わっていきます。マルチバースを救うため、スパイダーマンと彼のロボットが常に全力でいることを証明していく内容になっているのです。
彼が“地獄からの使者”!?
「地獄からの使者」という言葉に疑問を持った人も多いのではないでしょうか……?そう、あなたは読み間違えたわけではありません。ピーター・パーカーがアメイジングで、マイルス・モラレスがアルティメットなスパイダーマンなわけですが、山城は自分自身のことを「地獄からの使者」と呼んでいるのです。彼は復讐者であり、自身をそう呼ぶことでそれを聞いた相手を怯えさせようとする魂胆です。
価値のある男
山城拓也は確かにピーター・パーカーや他のスパイダーバースのメンバーと同じバックグラウンドを持っていませんが、それでも正しい行いをしようと努める彼の精神は、彼をスパイダーマンと呼ぶのにふさわしいもの。
そんな彼について深堀りしている「マーベル616」の第6話「日本版スパイダーマン 」は現在Disney+(ディズニープラス)独占配信中です!