ピクサー作品には、アニメーターたちの遊び心がいたるところに隠されています。手の込んだ、彼らの渾身(こんしん)のイタズラを見つけると、ふっと笑いがこぼれてしまいますよね。作品を楽しみながらでも発見できるベテランファンの方はもうご存じかもしれませんが、発見のヒントは、大きく言えばたったひとつ。とにかく、作品の枠、時代設定、世界観に縛られないこと。
架空の企業やキャラクターたち、おなじみのアイテムが隠れてるシーンから、特別映像も参考にして、検証していきましょう!
巨大企業、Buy N Large社
荒廃した未来の地球を舞台に、1体のロボット、ウォーリーの存在から物語がスタートする『ウォーリー』(2008)。この作品の世界では架空の大企業、Buy N Large(バイ アンド ラージ)社が、すべての生産を担っており、ウォーリー自体もこの会社の製品です。
ウォーリーの時代から大きくさかのぼりますが、『トイ・ストーリー3』(2010)の世界では、バズ・ライトイヤーの背中が開けられると、そこにはこのBNL社の乾電池が。
もちろん飲食業界にも強い大企業、BNL。その市場は東京にまで展開されていました。『カーズ』の短編『メーターの東京レース』(2008)では、メーターが挑戦する東京タワーレースの背景に、この企業ロゴのネオンがギラギラと輝いています。ぜひチェックしてみてください。
また、この会社はクレジット業務も行っており、『トイ・ストーリー・オブ・テラー!』(2013)でボニーとボニーのお母さんが宿泊したスリープウェル・モーテルには、BNLカードでの支払い可能の表示が。
キャラクターたち(『トイ・ストーリー』シリーズ)
作品の世界観を超えて活躍しているのは、企業だけではありません。ウォーリーの部屋には『トイ・ストーリー』シリーズに登場するレックスの姿も。彼のコレクション棚が映るところで、2本のボーリングのピンの間に置かれているので、ぜひ見つけてあげてくださいね。
『トイ・ストーリー3』(2010)のピンクのテディベア、ロッツォは、『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009)に、おとなしく登場しています。
ピザ・プラネットのトラック
その『カールじいさんの空飛ぶ家』では、ピクサーのほぼすべての長編アニメーションに登場しているピザ・プラネットの黄色いトラックを、空の上から眺めることができます。

このトラック、『リメンバー・ミー』(2017)では、メキシコの路上を走っていました。もちろん表記は、Pizza Planetaとスペイン語です。
そして、メキシコのこの村には、ライトニング・マックィーンのデザインの靴を履いている男の子がいることに、気が付きましたか?あっという間なので、足元のイナズマのマークと"95"という数字に気を付けて、探してみてくださいね。
コード番号、A113
また、ライトニング・マックィーンは『カーズ/クロスロード』(2017)で、彼のスポンサー企業であるRusteze(ラスティーズ)のレーシング・センターにいますが、そのCEOのオフィス番号はA113。

この、A113という番号は、ピクサー・アニメーション・スタジオで活躍するアニメーターの多くが学んだカリフォルニア芸術大学の教室の番号で、本当にたくさんのピクサー作品にいろいろな姿で登場しています。以下はほんの一部!
いかがでしたか。ピクサーアニメーターたちの遊び心は、作品の枠を越え、その時代設定や世界観に縛られることなく、いたるところに自由に登場しています。これらは全ピクサー作品に対してのオマージュと言えますが、なかにはもはやピクサー作品という枠にすらこだわらないものも!
『トイ・ストーリー』でウッディとバズがシドの家の中を走っているときのカーペット。リー・アンクリッチ監督がファンだからという理由で、映画『シャイニング』に出てくるカーペットと同じ模様が採用されているんだとか。これはピクサーファンでも難問ですね。それから、日本人にはちょっとうれしくなるようなトリビアとしては、『トイ・ストーリー3』に『となりのトトロ』のトトロが登場しているんです。気がつきましたか?
こだわりのない目で、細部までじっくり、何度でも楽しんでみてください。知り尽くしたと思った作品にも、まだ新しい発見があるかもしれません!
特別映像【ピクサーの架空巨大企業、Buy n Large社って?】は、こちらからお楽しみください。映像内では、他にもいろいろなトリビアを紹介しています。