ディズニー映画『ムーラン』(2020)は、家族、そして自国のために危険を冒し、中国最強の戦士のひとりとなった大胆不敵な若い女性の物語を、壮大なスケールと意義を持って描いています。英雄伝を伝える他のどの作品もそうであるように、スクリーンを彩るそのデザインは非常に重要です。功績を認められ、最近プライムタイム・エミー賞にノミネートされた名声高い衣装デザイナーのビーナ・ダイゲラーをご紹介しましょう。
『ムーラン』の監督、ニキ・カーロとは、2017年の『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』という作品ですでに一緒に仕事をしていたビーナ・ダイゲラーは、本作で、中国王朝を再現する、というタスクを背負うことになりました。それは簡単なことではありませんでした。
「すべての衣装製作にあたり、中国文化と歴史を深くリサーチしました」彼女はそう語っています。「私にとって、リスペクトを持って中国の歴史を扱うことはとても重要なことでした。なぜなら、それは本当に豊かで宝物のように見事だからです。中国を訪れ、数週間かけて大きな博物館をすべて回りました。多くの衣装が唐王朝時代の影響を受けています。その製作には手作業が多く、アーティストたちは互いに刺激を受け合い、チームで協力しました。私もたくさんのアーティストたちと仕事をしました。みんな楽しんでいましたよ。私たちの映画のベースには、そういった良い感情があると思います。それが観客のみなさんにも伝わるといいなと思います」
2020年初め頃、ビーナ・ダイゲラー自身によるムーラン衣装の展示会で、作品に登場するいくつかのもっとも複雑な衣装製作についての彼女の考えに触れることができました。
ムーランのお見合いシーンでのドレス(リウ・イーフェイ)
「このドレスについてのアイデアはとても早い段階で浮かびました。最初の台本読みをした次の日くらいでした」彼女はそう言います。「別の王朝のスタイルを検討し始めたんです。ドレス姿のムーランがスクリーンに映されると、それは素晴らしい瞬間になるはずだと想像がつきました。だから、監督のニキにそのシーンの演出アイデアを提案しました。そしたらすごく気に入ってくれて、作品に反映されたんです。とてもうれしかったですね。このドレスは仕上げるまで、本当に長い時間がかかりました。彼女にはスタントのシーンもありましたからね。見てわかるように、これは体にぴったりと沿っているんです。リウ・イーフェイの美しい動きを邪魔しないように、工夫しなくてはならなかった。層を1枚ずつ重ねるように作っていったんです。そういう作業は本当に大切だと思います。俳優たちは着心地を感じ取っているし、それによってその時代に入り込みますからね」
タン司令官の軍服(ドニー・イェン)
「彼自身がインスピレーションでした」ドニー・イェンについて彼女はそう言います。「彼はこの特別なマーシャル・アーツの動きを知り尽くしている人なんです。タン司令官においては、すべてを亀とその甲羅のイメージで製作しました。象徴主義と、そして軍の衣装に精通している中国の専門家にサポートしてもらいました。とても細かいところも、軍の構造や位に関係しています。つまり理由があるんです。本当に深くリサーチしました。それから、すべてがしっかりとフィットすることが重要。この革の服はドニーの腕の長さにぴったりと合わせてあります。ちゃんと腕を曲げられるようにね。それから、豊かな時代背景を反映させるために、すべてを高級に仕上げるようにしました」
おそらくもっとも複雑なシェンニャンの衣装(コン・リー)
「彼女の衣装は、鷹(たか)にインスパイアされています。鷹が作業場に入ってきたみたいだったわ。私は目に入るものすべてからアイデアをもらうから、鷹の画像を作業場のいたるところに貼っていました。他の人たちも見られるようにね。
"ムード ボード"というボードがあって、みんなが見てひらめきを得たり、新しい案をそこから探したりします。それから、彼女の王冠は鳥のガイコツにインスパイアされたものです。シェンニャンの衣装については、すべて、地球に関連していて、鷹もそうだけれど、大地の色を使いました。大地や強さを表現していることが重要でした。見てわかるように、すべて手縫いで、革から彫り出されているんです。曲げることもできるし、オーガニックな感触があります。彼女の存在はストーリ-展開においてとても重要です。ムーランも彼女も、最初から自分のなりたいものになれていたわけじゃない。だからムーランの葛藤はまた、シェンニャンにも通じるところがあるんです。それから、シェンニャンの衣装はとても固くて、それが彼女に力を与えてもいる。男の世界で生きている彼女を守ってもいるんです」
ボーリー・カーンの衣装における挑戦(ジェイソン・スコット・リー)
「ジェイソンはこの役を演じるにあたり、しっかりと準備をしてきていました。身体をしっかりとトレーニングしていて、本当に強かった。本当に真剣に向き合っていて、見事な技術を身に着けていました。彼の色は、黒だとすぐに思いました。まず初めに、彼を象徴するようなベルトを作る必要がありました。ベルトさえ決まれば、後は自然に生まれるだろうと思っていました。監督がそれを求めていて、ボーリーに強いイメージをもたせようとしていたんです。私はあるベルトを見つけて、よし、これなら監督に見せられると思いました。私はいつも彼女を驚かせたいと思っていて、それができるかどうかが、自分自身に対する挑戦でした。
彼の装甲の最初の試作品は、金属を使いたいと考えていました。どんなふうに見えるかがわかっていましたから。でも、彼は馬に乗るから、危なくて金属は使えなかったんです。だから、革を使って本物の装甲をコピーしました。周りを囲むスカートのようなものです。彼のマーシャル・アーツの動きに合わせて、そのスカートが動くんです。それもまたすべて手縫いで作っていますよ」
『ムーラン』実写版から、衣装製作の秘話をご紹介しました。デザイナー、ビーナ・ダイゲラーのリサーチと工夫がたくさん詰まった見事な衣装を、ぜひ本編でお楽しみください!

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