ディズニー映画の中でも、森は豊かな物語の舞台となってきました。映画の中に飛び込んで、森の空気を胸いっぱいに吸い込んでみてはいかがでしょうか。
深い森の匂いを感じさせる
森に住む動物たちの王の息子として生まれた子鹿バンビが主人公の『バンビ』(1942)。生まれたばかりのバンビが細い足で立ち上がるおなじみのシーンから始まるこの映画は、ウサギのとんすけやスカンクのフラワーといった仲間たちと遊びながら成長していくバンビの姿を追っていくと共に、春から冬へと移り変わっていく森を、美しく描き出しています。


バンビや他のキャラクターたちがくっきりとした線で描かれているのに対し、背景は薄い霧がかかったようなやわらかなタッチ。苔の匂いが届いてきそうです。ディテールを描き込まずにその場所の空気や色彩を伝える幻想的な背景は、『バンビ』の原画を手掛けたコンセプチュアル・アーティストのタイラス・ウォンのアイデアとのこと。『バンビ』の世界は、タイラス・ウォンが描いた何枚ものコンセプト・アートから生み出されていきました。

一方で、バンビたちの遊び場となる枯れ木やフラワーの周りに咲く花々などは細かく描かれ、森の楽しさを感じさせます。
あのヒット作にも影響を与えた森
『眠れる森の美女』(1959)では、ある国の王女として生まれたオーロラ姫が、邪悪な魔女マレフィセントからかけられた呪いを避けるため、お城を離れ3人の妖精と一緒に森の中で成長していきます。
オーロラがイチゴを摘みに出かける森の中には小鳥の声が響き渡り、松やシダといった植物のほか、オーロラ姫が椅子のように座れる木の根もあります。フィリップ王子と出会い、名曲「いつか夢で」に合わせて歌い踊る場面も忘れられません。
『眠れる森の美女』の中に登場する森は、『バンビ』とは対照的に直線的でシンプルなタッチで描かれています。背景とカラー設計は、カラー・スタイリストとしての才能を見込まれたアイヴァンド・アールが担当しています。アイヴァンド・アールの手による垂直の線と木々の描き方は、『アナと雪の女王2』(2019)のスタッフが魔法の森を作り出す際にもインスピレーションを与えたそうです。
アイヴァンド・アールの作品は、現在も展覧会や画集、メトロポリタン美術館などの収蔵品として観ることができます。
一度は行きたい!100エーカーの森
A・A・ミルンの原作をアニメーション化した『くまのプーさん 完全保存版』(1977)で、プーや子ブタのピグレット、ロバのイーヨー、トラのティガーらが住む「100エーカーの森」。「原作になるべく忠実に」というウォルト・ディズニーの意向があったため、E・H・シェパードが手掛けた原作の挿絵と重なる温かみのあるタッチで描かれています。
100エーカーの森のモデルと言われているのは、イギリスの首都ロンドンから電車で1時間半ほどの場所にあるハートフィールドという名の村のアッシュダウンの森です。ちなみに100エーカーというのは東京ドームの約8.6個分ということですが、本当のアッシュダウンの森はさらに広く、6400エーカーもあるそうです。
『くまのプーさん』に登場する"森"は、高い木々が生茂る場所と草原が隣り合っているところが特徴。大きな木の洞(ほら)を利用したプーの家や、木の上にあるフクロウのオウルの家、プーとクリストファー・ロビンが遊ぶ小川、かなり悲観的な性格のイーヨーの家がある森の奥など、キャラクターや物語の展開に合わせて森の様々な顔を観ることができます。
陽気な動物たちとワイルドな森を堪能
オオカミに育てられた人間の子モーグリが主人公の『ジャングル・ブック』(1967)の舞台はインドのジャングルです。熱帯地方に広がる原始林は、これまで紹介してきた作品の中の森よりも、ぐっとワイルドな印象を与えます。
濃い緑とカラフルな花々のコントラストが美しく、ココナツやバナナといったフルーツもたくさん登場します。また、モーグリをとりまく動物たちも、ゾウやヒョウ、トラ、ヘビと、『バンビ』や『眠れる森の美女』とは違った顔ぶれが並びます。クマのバルーのお腹に乗って川で遊んだり、キング・ルーイをはじめとするオランウータンたちと愉快な歌を歌いながら踊ったりするモーグリを見ていると、こんなふうに夏休みを過ごせたら楽しいだろうなと思えてきますね。
2016年に作られた実写版『ジャングル・ブック』では、CGで作り込まれたジャングルを堪能できます。
高く深く!スリル満点のジャングルへ
アメリカの小説家エドガー・ライス・バローズが生み出し、何度も実写映画化されてきた物語に新たな命を吹き込んだ『ターザン』(1999)では、両親を失った後、ゴリラに育てられたターザンが、人間世界と遭遇します。
野生の動物たちの中で超人的な運動能力を育んだターザンは、絡み合うように繁っている木々の間を飛び回るだけでなく、曲がりくねった木の幹をまるでスノーボーダーのように滑り降りる姿も見せます。そんなターザンの姿を観ていると、一緒にジェットコースターに乗っているようなスリルを感じます。
『ターザン』では、CGで描かれた背景と手描きのキャラクターを融合させるため「ディープ・キャンバス」と呼ばれる、画面に奥行きを与えるシステムが開発されました。これにより、高さと深みを感じさせるジャングルの森の中を縦横無尽に動き回るターザンをダイナミックに追っていく映像を観ることができます。もちろん、木々の間をスイングしていくターザンの姿もたっぷり。特にジャングルにやってきた人間の女性ジェーンを抱きしめて揺れるロマンティックなシーンからは目が離せません。
ディズニー映画に登場する様々な森。日常に少し疲れた時は、緑いっぱいの場所で待つ個性的な仲間たちに会いに、Disneyの森の世界へ出かけてみてはいかがでしょうか。
*本記事の作品公開年はアメリカ公開の年を記載しています

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