ニコラス・ケイジの数多くある代表作のなかでも、冒険家一族の子孫として宝探しに挑む歴史学者ベン・ゲイツを演じた『ナショナル・トレジャー』(2004)は、冒険&謎解き、そして歴史好きにもたまらない1本。興奮と刺激をくれる、アドベンチャー大作の魅力をご紹介します。
ある一族しか知りえない秘密とは?
『ナショナル・トレジャー』でニコラス・ケイジが演じるのは、歴史学者かつ冒険家一族として知られるゲイツ家の子孫、ベン・ゲイツ。好奇心と冒険心旺盛な少年だったベンは、ある嵐の夜、祖父から、180年以上前にさかのぼる秘密の話を聞きます。アメリカ独立宣言署名者のなかで、最後の生存者であったチャールズ・キャロルが、息絶える間際に、当時の大統領アンドリュー・ジャクソンにある秘密を伝えようとして叶わず、ベンの6世代前の先祖トーマス・ゲイツに託したというのです。
その秘密とは、古代から歴史の動乱のなか、数々の権力者の間を転々とするうちに膨大な数に膨れ上がった秘宝のありかを知るヒントのこと。秘宝は、テンプル騎士団が発見して持ち帰り、フリーメイソン(自由な石工)によってアメリカ合衆国にもたらされ、独立戦争の最中に消えたと説明されます。その隠し場所の唯一の手がかりとして、ゲイツ家に託された「秘密はシャーロットと共に眠る」というメモをもとに、大人になったベン(ニコラス・ケイジ)の謎解きと冒険が始まります。
知っているとより面白い
その1:テンプル騎士団
ベンとの宝探しに参加する前に、いくつかの歴史ワードを共有しておきましょう。
まずは"テンプル騎士団"。時代活劇や冒険ものなどによく登場するこのテンプル騎士団とは、ローマ教皇によって1119年ごろに認可された騎士修道会の騎士たちのことで、聖地エルサレムと巡礼に向かうキリスト教徒を守る目的で設立されたそうです。のちに巡礼に出た人々の資産を預かるなど銀行的な役割も務めるようになり、騎士団の勢力は拡大。彼らの力を恐れたフランス王フィリップ4世は、騎士団を解散に追い込み、総長に死刑を宣告します。
しかし、事前に情報を察知した一部の騎士は、財宝を持ってスコットランド、スペイン、クロアチア、またはコロンブスより先にアメリカ大陸にわたったなどと言われており、彼らの逃亡とその伝説的な活躍は、多くの小説の題材となっています。
ウンベルト・エーコの「フーコーの振り子」や、ダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」は、テンプル騎士団のミステリアスな部分をうまく活かし、ベストセラー小説となりました。
知っているとより面白い
その2:フリーメイソン
"フリーメイソン"とは、18世紀初頭にロンドンで結成された国際的な親善団体のこと。中世の石工組合の流れをくみ、人種、階級、国家を超えた相愛的な平和人道主義を順守する団体と言われています。合理性や進歩を重んじるその在り方は、フランス革命、ドイツの啓蒙思想、アメリカの独立戦争などに影響を与え、また、支え導いたといわれています。
映画では、テンプル騎士団がフリーメイソンを組織したことになっており、関連する人やものがたくさん登場します。
まず冒頭、ベンの祖父によって宝の隠し場所の言い伝えが語られるなかで、宝をアメリカにもたらしたのはテンプル騎士団が組織したフリーメイソンであること。その宝は独立戦争の際にフリーメイソンの手でどこかに隠されたこと。メンバーにはジョージ・ワシントン、ポール・リヴィア、ベンジャミン・フランクリンらがいたこと。フリーメイソンでもあったアメリカ建国の父たちは1ドル札に"未完のピラミッド""全能の目"という手がかりを残したと、幼いベンに伝えます。
大人になったベンは、フリーメイソンに詳しい歴史学者となり、その知識を活かして宝の隠し場所へと近づいていきます。
知っているとより面白い
その3:米国の独立戦争
"米国の独立戦争"も、知っていたほうがより興味深く観られるキーワードです。アメリカが独立をかけて戦ったのはイギリス。マサチューセッツ湾直轄植民地、ニューヨーク植民地、メリーランド植民地、ヴァージニア植民地など北米東海岸の13の植民地が、イギリスからの独立をかけて戦いました。ベンの祖先にメッセージを託したチャールズ・キャロルは、1776年のアメリカ独立宣言に署名した最後の一人だったわけです。
宝は、"英国の手に渡ることがないように"隠され、何百年も解けない暗号で守られます。それは、その価値が戦争の勝敗を左右するくらいの財宝だったからなのでしょう。トレジャー・ハンターたちが必死になるわけです。何百年も解明できない暗号を作り出すとは、どんな才能なのでしょうね!劇中に登場するさまざまな種類の暗号も見どころです。
歴史的な場所で行われた映画のロケ
アメリカ独立戦争がキーワードになっているこの作品では、アメリカの歴史的な建造物や場所を舞台に、ストーリーの多くが繰り広げられていきます。実際に映画は、ボストンやニューヨーク、ワシントンD.C.などで撮影されました。
ワシントンD.C.では、議事堂を背景にペンシルベニア通りを横切るシーン、ベンが注意喚起と協力の要請に行くアメリカ国立公文書館のシーン、ワシントン初代大統領の精神を称え、ワシントン記念塔をリンカーン記念館の階段から臨むシーンが撮影されました。
ニューヨークでは、17世紀から続くトリニティ教会で、フィラデルフィアでは、独立宣言の際に鳴らされた自由の鐘が大きな意味を持つシーンの撮影が行われました。
プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーは本作の撮影を、「史跡巡りだね」と語っています。本作には、それほど多くの歴史的建造物が登場し、多くの歴史的事実が引用されていますが、ストーリーはもちろんフィクション。でも物語が歴史を軸に展開されていくことでリアルさが増し、さらにスリルが味わえるのです。
誰でもトレジャー・ハンターになれる、その理由
国家レベルの秘宝を探す冒険ながら、謎解きの鍵やアイデアが身近なところにあるのも同作の大きな魅力です。
ベンが博物館の指紋認証を突破するのに使うものや、100ドル紙幣に隠された難解な謎。見えないインクで書かれた暗号を浮かび上がらせるために使用するレモンと綿棒とドライヤー(ちなみに、レモン汁は、目に見えないインクの材料にはなるものの、インクを浮かび上がらせるために使われることはないようです)など。
国家レベルの秘密でも、それを解く鍵は案外身近なところにあり、アイデア次第で解明できる――そのなんとも言えないギャップが楽しく、誰でもトレジャー・ハンターになれるような気がしてきます。上記のアイテムを、具体的にどのように活用するのかは、ぜひ本編を見て、確認してみてくださいね。
アメリカの重要史跡を巡りながらの大冒険!ご家族やお友達とわいわい観ても楽しい謎解きに、あなたも挑んでみませんか。
*本記事の作品公開年はアメリカ公開の年を記載しています

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