『パイレーツ・オブ・カリビアン』は、2003年の第1作からこれまでに5作品が公開された映画シリーズ。ディズニーのアトラクション「カリブの海賊」から生まれたという経緯も珍しければ、これだけ長い間、多くのファンに愛されるシリーズも少ないですよね。大ヒットし続ける魅力はどこにあるのでしょうか?
『パイレーツ・オブ・カリビアン』おさらい
1作目から5作目のストーリーを簡単に説明しましょう。
シリーズ1作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(2003)。ブラックパール号の冷酷な海賊キャプテン・バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)にさらわれた総督の娘エリザベス(キーラ・ナイトレイ)を救い出すため、一匹狼の海賊ジャック(ジョニー・デップ)と手を組んだ若者ウィル(オーランド・ブルーム)の戦いと数奇な運命を描きました。
シリーズ2作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』(2006)。ジャックは、ブラックパール号の船長になることと引き換えに、深海の悪霊デイヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)と永遠の労役に服す〈血の契約〉を交わします。その約束を回避するため、ジャックは彼の心臓の入った〈死者の宝箱(デッドマンズ・チェスト)〉を探します。一方、結婚目前だったウィルとエリザベスも、東インド貿易会社のベケット卿(トム・ホランダー)の画策で、ジャックの逃亡を助けた罪に問われて捕えられ、騒動に巻き込まれて宝箱を追いますが、ジャックは、海の墓場であるデイヴィ・ジョーンズ・ロッカーに囚われてしまいます。
シリーズ3作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』(2007)。世界制覇をもくろむ東インド会社のベケット卿に対抗するために、9人の"伝説の海賊"を招集し、世界中の海賊たちを蜂起させて決戦を挑みます。その鍵を握る9人目の人物こそ、"デイヴィ・ジョーンズ・ロッカー(海の墓場)"に囚われているジャック・スパロウ。エリザベスとウィルは、よみがえった不死の海賊バルボッサと共に、ジャック奪還の手掛かりを握る中国海賊の長サオ・フェンの元へと訪れます。
シリーズ4作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』(2011)。孤高の海賊ジャックの前に、かつて彼が愛した女海賊アンジェリカ(ペネロペ・クルス)が現れ、永遠の命をもたらす伝説の<生命(いのち)の泉>を探す旅に出る物語。ジャックとアンジェリカ、スペインの海賊で史上最恐の黒ひげ(イアン・マクシェーン)、イギリス海軍に寝返った元海賊バルボッサ、そして美しくも恐ろしい人魚(アストリッド・ベルジュ=フリスべ)らが、それぞれの思惑と野望を秘め、<生命の泉>を探す波乱の航海をはじめます。
シリーズ5作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(2017)。ジャック・スパロウの過去を知る最恐の敵・海の死神サラザール(ハビエル・バルデム)が解き放たれ、海賊全滅へのカウントダウンが始まります。ジャックがサラザールの復讐から逃れるために、そしてウィルの呪いを解くために必要な伝説の秘宝<ポセイドンの槍>を求め、ウィルの息子ヘンリー(ブレントン・スウェイツ)、女性天文学者カリーナ(カヤ・スコデラリオ)、宿敵バルボッサの運命が交差する中、最後の冒険の幕があがり、ジャックとサラザールの決戦の時が近づきます。
キャストを巡る幸運の縁
『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』
それでは個性あふれる登場人物たちと、それを演じる俳優陣の魅力から見ていきましょう。
これまでの5作品は上記の通り。シリーズ1作目から3作目までは3部作の形態をとっていて、主要キャラは無法者でちょっとお茶目な海賊、ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)、活発で美しい娘、エリザベス・スワン(キーラ・ナイトレイ)、エリザベスと恋に落ちる実直な青年、ウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)の3人です。
シリーズ1作目の『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』製作前、ジョニー・デップはすでにいくつかの作品の主演を務めていましたが、それまでは性格俳優のイメージが強く、大作での主演経験はほとんどなかったため、彼の主役抜擢を懸念する声もあったそうです。またキーラ・ナイトレイも注目されはじめたばかりの新進女優でした。しかしオーランド・ブルームを含めた3人は、周囲の心配をよそに見事なパフォーマンスを披露。シリーズ3部作の大成功によってハリウッドでの確固たる地位を築いたのです。
『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』
シリーズ4作目には新たなヒロインとして女海賊アンジェリカ(ペネロペ・クルス)が、シリーズ5作目には新しい悪役サラザール(ハビエル・バルデム)が登場。ともにスペイン人俳優であるペネロペ・クルスとハビエル・バルデムは、シリーズ4作目の撮影期間中だった2010年7月に実生活で結婚しています。しかもこの時、ペネロペ・クルスのお腹には第一子となる男の子が。これも、同シリーズがもたらした"幸運"と言えるでしょうか。
鍵となった海賊とロックの関係
意外なキャストも重要な見どころです。シリーズ3作目と4作目には、ジャック・スパロウの父親キャプテン・ティーグ役でローリング・ストーンズのキース・リチャーズが出演しています。またシリーズ5作目には、ジャック・スパロウのおじ、アンクル・ジャック役で元ビートルズのポール・マッカートニーが登場する一幕があります。世界を代表するロックバンドの2人がコミカルな演技を見せてくれています。
作品内でギター演奏も見せるキースの出演は、ジョニー・デップが熱望したことで実現しました。というのも、ジョニー・デップはそもそも、キース・リチャーズをイメージしてジャック・スパロウ役を演じていたのだそう。「海賊は、その時代のロックスターのような存在だと思ったんだ」「(ロックスターは)危険に生きていて、ワイルドで、何でもできる。まさに海賊だよ」とジョニー・デップ自身が回想しています。ロック界きっての「反逆児」のアイコンで、親しい友人でもあるキース・リチャーズから刺激を受けたというわけです。
細部までこだわったデザインの美しさ
ジャック・スパロウの海賊船ブラックパール号、幽霊船フライング・ダッチマン号など数々の船や、衣装、小道具の細部までこだわった美術面もファンをしびれさせる要素です。
趣のある美しさを放つジャック・スパロウのアクセサリーには、ジョニー・デップ自身の私物も使われているそうです。「小さなドクロの付いた(緑石の)指輪は、数年前に中古店で見つけたんだ」(ジョニー・デップ)。ゴールドの土台に大きなパープルの石をあしらった指輪もデップの持ちもので、2400年も前に作られたという貴重なアンティークでしたが、撮影中になくなってしまったため、その後は小道具担当が再現したものを使用したそうです。
『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』
金歯、銀歯など、従来のヒーロー像とは一線を画したジャック・スパロウの見た目や衣装にも、ジョニー・デップのアイデアが採用されているそうです。シリーズ1作目から3作目までを監督したゴア・ヴァービンスキーは「ジョニーは常に、あの端正なルックスに反する役づくりをしたがるんだ。望めばストレートな二枚目を演じられるのに、そうはしない。あらゆる手段を講じて、精緻な工芸品を作るように演技を組み立てていく。匠(たくみ)の仕事だよ」と語っています。そのようにして、ファンの心をつかんで離さないユニークな主人公が出来あがっていったのですね。
パイレーツシリーズの音楽の力強さ
『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』
そして、『パイレーツ・オブ・カリビアン』といえば忘れてはいけないのが音楽でしょう。特にシリーズを代表する「彼こそが海賊(He’s a Pirate)」は、多くのテレビ番組でも耳にしますし、プロボクサーの村田諒太らスポーツ選手の入場曲としても流れるなど、様々なシーンで耳にする力強い楽曲。アクション映画音楽史のターニングポイントになったと言われるほどの影響力があります。あの印象的なフレーズが少し流れただけでワクワクして、海賊船で冒険に出かけるジャック・スパロウの勇姿が浮かんできますよね。
メインテーマ「彼こそが海賊(He’s a Pirate)」を含む、シリーズ1作目の作曲者は、クラウス・バデルト。シリーズ2から4までの音楽を手掛けたハンス・ジマーの弟子にあたります。バデルトは、ハンス・ジマーが作曲したデモ音源をベースに全体像を作り上げたそうです。「パイレーツ・オブ・カリビアン オリジナル・サウンドトラック・トレジャーズ・コレクション初回生産限定盤(4CD+DVD)」に収録されているので、そこからバデルトによってどんなふうにサウンドトラックが完成していったのか、確認してみるのも興味深いですね。
このように、あげだしたらキリがない魅力満載の『パイレーツ・オブ・カリビアン』。時間に余裕がある時に、まとめて見直してみてはいかがでしょうか。
*本記事の作品公開年はアメリカ公開の年を記載しています
シリーズを一気見しよう!
『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ作品

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