ディズニーに縁のある、そして、ディズニーを愛する豪華アーティストたちによる1日だけの「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート」が、今年も、4月7日(日)に開催されます。どんな曲が歌われるのかは当日のお楽しみ!インタビューの内容から想像してみてくださいね。
Disney DAILYはコンサートの出演者であり、これまで劇団四季のディズニー作品に多数出演されてきた海宝直人さんにインタビュー!コンサートのみどころからプライベートまで、たっぷりお届けします♪
海宝さんは7歳の時に劇団四季『美女と野獣』のチップ役でデビューし、その後『ライオンキング』では初代ヤングシンバに抜擢されます。『アラジン』、『ライオンキング』、『ノートルダムの鐘』では、主演を務めました。さらに、昨年はロンドンのウエストエンドでも舞台デビューを飾るなど、今、世界が注目するアーティストです。
今年は、ウォルト・ディズニー・レコードより、フル・オーケストラを従えてディズニーの名曲を歌ったソロ・メジャー・デビューCD「I wish. I want.」も発表されました。
4月7日のコンサート本番を前に、意気込みをうかがいました!
ー 「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート」にゲスト出演されることが発表されましたね!
このコンサートに出演させていただくのは2016年、17年に続き、3回目なんです。出演者も、お客様も、ディズニー好きだけが一堂に集まり、一緒に踊ったり、歌ったりできる、僕にとって特別なコンサート。会場のみんなが一緒になって一つの空間を作り上げる感じが、他のコンサートにはない一体感を生むんですよね。僕も、小さい頃からディズニーと共に育ってきたので、素敵な出演者の方々や皆様とご一緒できることを、今から楽しみにしています。
ー 過去2回の出演をめぐり、思い出に残っていることは?
小さい頃から『アラジン』を何度も何度も観ながら育ってきたので、山寺宏一さんの「フレンド・ライク・ミー」を生で体験できて感動しました。
また、自分の中で転機となった『アラジン』と『ノートルダムの鐘』の初演が始まって間もないタイミングで出演させていただいたので、とても思い出深いです。
カジモドの「陽ざしの中へ」は、舞台写真をバックに映していただきながら、台詞も少し交えて、歌ったんです。実は、打ち合わせの時、演出の方から「歌の導入に台詞を一つ入れませんか」と提案され、「一晩考えさせてください」とお願いしました。
ー 一言つけ加えるかどうかで一晩悩むんですか!?
ミュージカルの中で歌う時には、お客様もストーリーを追ってくださっていますし、キャラクターの旅路の中で歌いますが、コンサートでは一部分を切り取って、一曲の中だけでしっかりとドラマを伝えなくてはならない。ですから、どう表現するのが良いのか悩みました。作品を観たことがないお客様に一言で作品の世界を伝えるために、どんなテンションで口にするのが良いのかなど、自分の中では結構大きくて。結局、後ろに舞台写真を出していただけたこともあって、普段ミュージカルをご覧にならないお客様にも、舞台の一端を垣間見ていただくことができて良かったです。
ー 普段の役作りもストイックなのですか?
役作りの方法は、作品によって全然違うんです。例えば、作品によっては、声も変えなきゃいけませんし、体の使い方もいつもとは違った形で演じたりします。それが通常であるように作らなきゃならないので、中身と共に、体力的なところも整えていきました。作品によっては、台詞に込められた感情を分析しながら読み解いていったりしますし、役に合わせて体重を落としたりすることもあります。
最近は、「実際に相手役の方と舞台上で交流しながら役を構築していくことが大切だな」と思うようになりました。台詞を話し方で処理するのではなく、自分の中に台詞を入れつつも、実際に相手の方とのやり取りの中で作品を作っていく。ですから、最近は、ニュートラルに作品に取り組むように心がけています。
ー 台詞はどこで覚えるのですか?
生活の中のどこでも。例えば、洗濯しながらしゃべって覚えたり、お風呂に入りながらしゃべってみたり。あとは、相手役の台詞を自分で録音して、相手の台詞も覚えながら、台詞を言ってみたりします。
ー コンサートの中では、これまでに演じた作品以外の曲も歌われますね。
そうなんです。このコンサートは、デュエットもすごく楽しくて。例えば、以前、城田優さんとデュエットさせていただいたことも良い思い出です。「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート」では、なかなか他では実現しえないコラボレーションができるので、毎回楽しみです。今回も、山崎育三郎さんとデュエットするんです。2人で歌うのは初めてなので光栄ですし、楽しみです。
ー ミュージカル・ファンにはたまらない夢の競演ですね!歌うのは、『リトル・マーメイド』の曲ですね。
はい。『リトル・マーメイド』は、大好きなアラン・メンケンさん初のディズニー作品で、楽曲も素敵ですよね。今回歌う曲も、いろいろなアーティストがカバーしていて、広く愛されていますよね。僕も好きなので、男性同士のデュエットがどういう仕上がりになるか、楽しみに思っています。
ー『リトル・マーメイド』は今年30周年なんですよ。
そうか!僕と同い年なんですね!
ー 今や大人になった海宝さんですが、子供時代に歌った『ライオンキング』の曲も披露してくださると聞きました!
『ライオンキング』は、もう自分にとっては人生に刻まれている作品・役ですのでうれしいです。たまに、カラオケで当時の元キーで歌ったりするんですよ。今回も高めのキーで歌えたらと思っています。贅沢な出演者とのコラボレーションも楽しみです。
ー ヤングシンバ時代の印象的な思い出はありますか?
強烈に覚えているのは、オーディションですね。まさにこの曲について、その場で振り付けをしてもらうんです。全然うまくできなくて、終わってから一人で泣いた覚えがあります。悔しかったなあ。結果的には選んでいただけたので、良かったのですけれど(笑)。
そういえば、初レコーディングはこの『ライオンキング』の時でした。小学校4年生の頃だったと思うのですが、収録中に、弟が生まれたという連絡がスタジオに届いたことを覚えています。スタジオの風景や、大人の役者さんたちに遊んでもらったのが懐かしいですね。
ー 小学生で初レコーディングですか!緊張したんじゃないですか?
遊んでいた記憶や楽しかった思い出はあるんですが、不思議と収録そのもののことは思い出せないなぁ(笑)
ー 当時、オーディション以外にも、稽古や本番で泣いてしまうようなことはありましたか?
泣いた記憶はないのですけれど、『美女と野獣』の頃よりは少し大きくなったこともあり、責任感が芽生えて、緊張していた記憶はありますね。泣いたといえば、ヤングシンバを卒業する時に、スタッフの方々が卒業式を開いてくださったんです。卒業証書を読み上げて渡してくださる方が、読みながら号泣してしまって、自分も号泣しちゃいました。
ー 「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート」では、毎回『ハイスクール・ミュージカル』の「みんなスター!」が歌われますね。
『ハイスクール・ミュージカル』は、すごく好きです。ちょうど世代なんです。振りもコピーしようとがんばった記憶があります(笑)
ー どんな高校生だったんですか?
現代音楽部という軽音部みたいなところでバンドを組んでいて、ボーカルではなくギターを担当していました。学園祭で演奏したりしましたね。他にも、男友達とデュオを組んで、当時好きだったアーティストのカバーなんかをしていました。当時は、あまり仕事をしていなかったので、楽しく高校生活を送っていました。いたって普通の、目立つことが好きじゃない学生でしたよ。
ー 高校時代を通して、思い出に残っていることはありますか?
文化祭の後夜祭に友達とのデュオで舞台に立ったんですが、お金を貯めて買ったアンプが体育館のサイズに合っていなくて、音が聞こえないからリズムもわからなくなるし、歌はずれるし、ギターもずれるしで、地獄みたいになってしまって。終わった後、校舎の裏で2人で落ち込んでいると、そこにサッカー部の友達が来て、気を遣って「良かったよ」と声をかけてくれたんですが、余計落ち込みましたね。その時は泣きませんでしたけれど(笑)。でも、その経験は今も活きています。大失敗した時の感覚は、強烈に残っていて、それ以降は「ちゃんと考えて、ちゃんと準備しよう」と思うようになりましたね。
ー 今回、『ヘラクレス』の曲も披露されますね。
自分の中では難易度の高い曲です。特に、マイケル・ボルトンさんが歌った映画のエンディング・バージョンが子供の時から好きで、昔から歌ってみたいと思っていました。自分自身の成長を確かめられるようなチャレンジ曲なので、がんばって歌います!
ソロアルバム「I wish. I want.」
ー待望のソロ・アルバムが遂に発売されましたね!
実際にこうやってCDになって、ストリーミング配信でも聴くことができるようになって、感慨深いです。20代の頃から「自分の声を残せたらな」という想いがあったので、うれしいですね。ディズニーの楽曲でCDを出したかったんです。色々トレーニングを重ねてきて、自分が表現したい想いを少しずつ表現できるようになってきていると思うんですが、20代でしか出せない歌声をCDという形に残せたということがすごくうれしいです。
ー 選曲も海宝さんがなさったんですよね?
はい。自分の中に候補曲がいっぱいあって、入れたいけれど入れられなかった曲が、デュエット曲を含めてたくさんあります。がんばって選りすぐりました。『美女と野獣』、『アラジン』、『ノートルダムの鐘』と、アラン・メンケンさんの創られたメロディーが自分の感覚に刷り込まれていて、すごく大好きなので、メンケンさんの楽曲を集めました。
ー D23 Expo Japan 2018では、メンケンさんのステージにMC役で登壇されましたね!
はい!自分の思い入れを語った後にメンケンさんを紹介させていただくという役割で、すごく緊張しましたけれど、幸せでした。舞台裏でゆっくりとお話させて頂きましたが、ちょうどこのCDを企画していた頃だったので、収録曲を伝えると、「あ、全部、僕の曲だね!」とおっしゃって(笑)
ー 「I wish. I want.」というタイトルも素敵ですね!
多くのミュージカルには、「I wish song」とか「I want song」と呼ばれるものがあるんですよね。主人公が、自分の希望や現状打破への想いを歌い上げる大切な楽曲です。たとえば、『ノートルダムの鐘』の「陽ざしの中へ」とか、『アラジン』の「自慢の息子」のような曲ですね。ディズニーらしいですし、希望や想いに溢れた曲を歌えたらなと思って、タイトルにしました。
一 海宝さんが一番共感する「I wish song」は?
『ノートルダムの鐘』の「Someday」かな。いわゆる「I wish song」とは少し異なるんですが、すごく刺さるというか、これが自分が演劇をやっている理由なのかなと強く思う曲です。この曲を聞くと、「ああ、がんばろう」って思うような曲ですね。映画のエンディング・バージョンもミュージカル版も好きで、昔からよく聞いています。
ー エスメラルダに共感するということですか?
確かにこの曲はエスメラルダが歌っていますが、僕はカジモドの曲でもあると思っていて、作品全体のテーマを歌っている歌詞でもあると思うんです。このCDの収録時も、カジモドの感覚で歌いました。
あと、『美女と野獣』でベルが冒頭に歌う「朝の風景」も好き。聞くと元気になるというか、いろいろな感情を引き出してくれる曲です。
ー ベルのように「変わり者」と言われ続けてきたわけではない?
特にそういうことはなかったかな(笑)。実際には、変わり者かもしれないですけど(笑)
ー ディズニー・キャラクターの中で、自分に似ていると思うキャラクターはいますか?
共感という意味では、やはりカジモドに一番共感します。演じていても、こう、すごく震える感覚があるというか。実際にパリのノートルダム寺院に行って、鐘楼に上がり、隙間から町の風景を見て、「ああ、カジモドはこういう風景を見ていたんだな」と思いました。他人への憧れとか、すごく共感するポイントが多い気がしますね。
ー カジモドとは境遇が異なりそうな海宝さんがなぜ?
なぜなんでしょうね。こういう仕事をしていると、いざという時には、自分一人しかいないんだと思うことがあります。もちろん応援してくださる方も、支えてくださる方もたくさんいてくださるけれど、いざステージに立つ時は、表現したいという想いはありつつも、怖さや孤独感というのはすごくあって。そういう怖さや孤独感が理由なのかもしれません。
ー 怖さや孤独感?
はい。毎回、やめたいなって思う瞬間があります。コンサートも緊張しますし。「よくこんな仕事をやっているな、この性格で」と思います。毎回、吐きそうになりながらやっています。そういう時は、スタッフの方に話しかけてもらったりして、助けてもらいながら。
ー CDには『ポカホンタス』など、女性の歌も収録されていますね。
女性の楽曲には美しい曲が多いのですが、ミュージカルの舞台では歌えないですよね。一方で、コンサートなどで歌うと、お客様から「良かったです!」というお声もあって。今回、せっかくの機会なので!「カラー・オブ・ザ・ウィンド」は、曲もメッセージも好きな楽曲なので、自分にとっては自然な選曲でした。
ー ミュージカルにコンサートにCDと、ご多忙ですが、お休みの日は何をされていますか?
「廃墟めぐり」をしたいなと思っているんです。軍艦島とかに行ってみたいですね。人の思い出の匂いというか、ノスタルジーを感じる場所に惹かれます。閉園後の遊園地とか、人のいた痕跡が残っている感じが好きなんです。
ー読者の方にコメントをお願いします!
ミュージカルやコンサートなど、「舞台の上のディズニーの世界」も知っていただきたいです!ディズニーがお好きでも、ディズニー・ミュージカルはまだ観たことがないという方もきっと多いと思うんですね。
実は、ミュージカルの衣装の中には"隠れミッキー"がいたりするんですよ!そういう遊び心があったり、いろいろな楽しみ方があります。『アラジン』は豪華で煌びやか、『ノートルダムの鐘』は重厚、『リトル・マーメイド』は家族で楽しめる楽しい雰囲気と、作品によって魅力も様々です。ぜひミュージカルやコンサートに足を運んでいただきたいです。