1934年6月9日のドナルドダックのデビューから20年後の1954年、ウォルト・ディズニーはTV業界でも活躍するハリウッド初の大物プロデューサーとなり、彼のキャラクターであるドナルドダックはテレビの世界において新たなセレブリティとして仲間入りを果たしました。ドナルドの劇場アニメーションの監督であり、ドナルドを中心としたディズニーのテレビ作品エピソードの監督でもある、ディズニーレジェンドのジャック・ハンナは、こう話しています。
「全米の視聴率をみると、ウォルトとドナルドの番組が一番視聴率が高かったんです。ですから作品も多く制作しました。映画館だけじゃなく、テレビでもドナルドは愛されていました」。
今日は、ドナルドダックの誕生日をお祝いして、あまり紹介されることのないクラシックなテレビ番組から、最新の作品まで10選ご紹介します!
【1】『ザ・ドナルドダック・ストーリー』(1954)
1954年11月、テレビシリーズ「ディズニーランド」の第4話として放送されました。本作と1956年の『A day in the life of Donald Duck』(上記写真)を含む、ドナルドのアンソロジーシリーズでは、アル・コー、ボブ・カールソン、そしてディズニーレジェンドのビル・ジャスティスのようなドナルドの専門家たちが新たにアニメーションを描きました。この番組では、バラエティの特番のような定番番組をドナルド風に制作したものが見せ場で、「星に願いを」をドナルドならではの歌声で聴かせたり、刑事ドラマ「ロス市警犯罪ファイル ドラグネット」をパロディにしています。滑舌の不明瞭さを指摘する電話により、彼のTVキャリアは始まる前に終わりそうになりましたが、ウォルトは字幕を付けるように依頼。そうしてドナルドはスターになったのです。ドナルドの癇癪(かんしゃく)がテレビ信号を乱したこともあったようですけれどね。
【2】『ユア・ホスト、ドナルドダック』(1957)
実写設定のウォルトのオフィスにドナルドが登場する際、監督のジャック・ハンナは、アニメーションのドナルドが現れる位置をカメラマンに示すために、代わりに厚紙のアヒルを使いました。ウォルトについてジャック・ハンナはこう話しています。
「彼は本当にドナルドがそこにいるかのように、やり取りをしていました。ドナルドを相手にアドリブもしていてびっくりしました。ストーリーボードを作り直さなきゃなりませんでした」。
1957年のこのエピソードでは、ドナルドは隠し持ったスピーカーから録音されたプロのナレーションを流します。それを聞いたウォルトは彼にMCをさせることにするのです。新しくホストになった彼は番組名を"The Duckland 4 in 1 show"と変え、ティンカー・ベルをハエ叩きで追い払おうとします。ドナルドの甥っ子たちは、ドナルドがショーのさまざまな場面でホストを務めようと、"アドベンチャーランド"の英国人探検家をはじめとするいろいろな姿に変身するなか、正しく録音されたナレーション(声は「ホーンテッドマンション」のゴーストホストで有名になった、どんな役でもこなす声優でディズニーレジェンドのポール・フリース)を流そうと奮闘します。
【3】『ドナルドズ・アワード』(1957)
プルート、デイジーダック、ピートをはじめとするディズニーキャラクターの仲間たちが、この1957年版の新アニメーションに登場しています。ウォルトは、家族のようなこのキャラクターたちの中に“問題児”がいると言います。ギャング集団だったらそれは誰でしょうか。ウォルトは、ドナルドが1週間おとなしくしていたらご褒美をあげることを約束し、ジミニ―・クリケットに見張らせることにします。チップとデールが彼の悪事を詳しく話している間、何やらつぶやいているドナルド。ジミニ―の厳しい調査を妨害するためにミッキーマウスに変装するほど、ドナルドは自暴自棄になるのです。
【4】『ダック・フォー・ハイア』(1957)
1957年のこの作品で、気難しいドナルドはショービズ界に嫌気がさし、ディズニーの仕事を辞める決心をします。そして、有給休暇、短時間勤務、コーヒー休憩の多さに惹かれて、職業斡旋(あっせん)のエージェントへ。そこでは、姿も声もレンジャーのJ・オーデュポン・ウッドロアそっくりなエージェント(声優:ビル・トンプソン)が、自信満々な事務所のスローガンを唱えてみせます。一連の職業紹介が予想通り失敗に終わると、エージェントは喜ぶドナルドを、アヒルを求めていたウォルト・ディズニー・スタジオという雇用主へと送ります。そして、その仕事を続けてくれることを願う、と肩をすくめるのです。
【5】『ダック・フライズ・クープ』(1959)
1959年の本作では、ウォルトはドナルドから「休暇を取って出かける」というメッセージを受け取ります。自分に割り当てている仕事がたくさんあるのはわかっているけど、それはミッキーやグーフィーにやらせてほしい、という内容のもの。困ったウォルトはふざけて、ドナルドが契約を降りたから代役が待ち構えている、というウソの設定を作るように宣伝部に指示をします。ポール・フリースと伝説的声優ジューン・フォレイはさまざまなハリウッドレポーターやコラムニスト、スターの声を真似て、彼の突然の休暇をニュースでコミカルに批判。ドナルドはそれをカーラジオから聞いています。クマのハンフリーとレンジャーのJ・オーデュポン・ウッドロアのところにいたドナルドはウォルトから電話を受けますが、ウォルトって誰?と返します。ディズニーだ、と素っ気なく返されたドナルドは、ウォルトの待つ新作の宣伝のために急いでバーバンクへと帰るのです。
【6】『ダックテイルズ』(2017-2020)
ドナルドは1987年に放送されたオリジナルのTVシリーズ『ダックテイル』の複数のエピソードに登場していましたが、甥っ子と、おじのスクルージ・マクダックとともに、主要な役として2017年に大ヒットしたリブート版で復活しています。共同製作総指揮のフランク・アンゴネスはこう言います。
「ドナルドダックはヒューイ、デューイ、ルーイの父親代わり。でもドナルドにとってすべてがうまくいかないんです。彼は自分ができるすべてで甥っ子たちを守ろうとし、過保護になってしまう」。
1985年、ディズニーレジェンドのクラレンス・ナッシュからこれらのキャラクターを引き継いだ、同じくディズニーレジェンドのトニー・アンセルモは、オリジナルの『ダックテイル』から現在の『ダックテイルズ』に至るまで、この気性の荒いキャラクターの声を担当しています。
【7】『三人の騎士の伝説』(2018)
ドナルドのスリリングなTV作品のひとつ、『三人の騎士の伝説』では、『三人の騎士』(1945)に登場した、ディズニーを代表するアヒルとその仲間ふたりが再集結します。このシリーズでドナルドは、地図帳に閉じ込められた冒険の女神ザンドラを解放します。そして、ドナルド、ホセ・キャリオカ、パンチートは、ラシュモア山やエジプトのピラミッドなど、世界中のあらゆる場所で、神話のモンスターたちと戦うことになるのです。
【8】『ドナルドズ・シルバー・アニバーサリー』(1960)
1960年のこの独特なディズニーTV番組は、ほとんどが実際の映画の映像を使用しています。スタジオのメモによると、1960年2月11日、この特別記念エピソード制作に関するミーティングが行われ、ウォルトはストーリーについて、ドナルドのキャリアを歴史的文脈で伝えるために、"ニュースのクリップ映像と新聞の見出しとともに語る"ものにしようと発言しました。ディズニーアニメーションのTVエピソード制作に頻繁に携わっているボブ・マクリーによる新アニメーションでは、ドナルドはお祝いのケーキ姿で登場します。このエピソード内のウォルトの言葉こそが、永遠に語られるドナルドへのトリビュートなのです。"僕らはこのスタジオで何年もドナルドと一緒にいることを、栄誉であり、そして誇りでもあると感じています。彼の粘り強さ、誠実さ、そしてエンターテインメント界での自身の在り方への揺るがない献身が、永遠に僕らの心を愛しさで満たしてくれます。そう、ドナルドは特別なアヒルなのです。そして、彼の功績の中でも僕らがもっとも誇りに思うことは、世界中に善の心を広めてくれたことです。彼は世界共通の言語を話しているのかもしれませんね。彼の言うことはどんな言語でも誰にも理解できない。それなのに、世界中を笑わせることができるんです"。
【9】『ミッキーマウス ファンハウス』(2021)
ここからは近年の作品から2件、ご紹介しましょう。ディズニー・チャンネルで放送、ディズニープラスで配信中の『ミッキーマウス ファンハウス』は、話したり遊んだりできる魔法の家、ファニーと一緒に、ミッキーとその仲間たちがたくさんの冒険を経験するシリーズ作品です。シーズン1の第26話では、ミッキー、ミニー、ドナルド、デイジー、グーフィーが、大きなカニが住むジャイアント・クラブ・アイランドを船で訪れます。そこで出会ったカニのコーラはみんなをいろいろな場所へ案内、楽しい時間を過ごします。楽しすぎて遊びたりないグーフィーとコーラはある作戦を思いつきますが…。海賊スタイルのドナルドが観られるエピソードを、お楽しみに!
【10】『ミッキーマウス ミックス・アドベンチャー』(2019)
ここからは近年の作品から2件、ご紹介しましょう。ディズニー・チャンネルで放送、ディズニープラスで配信中の『ミッキーマウス ディズニージュニアで放送、ディズニープラスで配信中の『ミッキーマウス ミックス・アドベンチャー』。シーズン1の第18話では、ミッキーとその仲間たちが日本の新宿御苑で花見をすることになります。花見に完璧な場所を見つけようと、じっくりと見てまわりますが、ふとした隙にグーフィーの作った料理が入ったカートをたぬきに盗まれてしまいます。そしてそれを追いかけるのはドナルド。なかなか捕まらないたぬきに、彼が思いついたアイデアとは? その次のエピソードでは原宿も登場する、日本人にはとくに見逃せない作品です。
D23:The Official Disney Fan Club.
(https://d23.com/disneyplus/)
*本記事の作品公開年はDisney+に記載の公開年を記載しています(2024年6月9日現在)

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